立ち仕事や座りっぱなしの後、特に、飛行機や夜行バスなど、長時間移動する際に靴を脱いだ状態で座りっぱなしでいると、足がパンパンになってしまい、履いていた靴やブーツが履けなくなったことありませんか? また、「靴下のゴムの跡が残ってしまう」「とにかく足が棒のように疲れる」―このような足のむくみ(浮腫み)を経験したことがありませんか? 普段の生活を見直して、むくみを予防しましょう。 ・マッサージ(心臓に向かってリンパや血行の流れをよくする) 寝る前やお風呂上りに、むくみやすい部位を心臓に向かって流すようにマッサージしましょう。 ・足湯 お風呂場など水で濡れても良い場所で、お湯をはった洗面器にゆっくり足をつけましょう。アロマオイルを使うのもよいですね。 ・ゆっくり長時間お風呂につかって温まる 熱すぎない程度のお湯にゆっくりつかってみましょう。血行促進にも効果的。 ・軽い運動 ウォーキング、駅の階段の利用、踵の上げ下げ運動がおすすめ。運動後はマッサージも忘れないように。 ・食生活改善 塩分や飲酒を控えてください。きゅうり、ホウレンソウ、アボカド、ナッツなど、「カリウム」を多く含む食品を食事に取り入れましょう。 ・着圧ソックス 着圧ソックスには様々な種類があります。CMや広告で紹介されていることもあり、バラエティストアでも見かけるほど。むくみの改善に効果があるものは、医療機器承認を受けています。 むくみの程度や頻度にもよりますが、あまりに長期にわたってむくみが続く場合や、足の血管が大きく膨れてこぶのようになる「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」、リンパ液の流れが悪くなり皮膚組織の一部の体液が溜まりむくんでしまう「リンパ浮腫(ふしゅ)」(主に乳がんや子宮がんなどの術後に起こるとされています)などの治療が必要とされる場合は、医療用着圧ソックス(着圧ストッキング、弾性ストッキング)を病院で処方することがあります。 本コラムでは、医療用着圧ソックス(弾性ストッキング)についてご紹介します。気になる足のむくみ
ふくらはぎが張ってブーツのファスナーが閉まらなくなると「朝は問題なく履けたのに…!」とビックリすることも。
立ち仕事が多い看護師・モデル・ショップ店員、座り仕事が多いデスクワーク、座った姿勢を維持し続ける長時間のフライトなど、知らず知らずのうちに足を酷使しているシーンは様々。
特に、女性にむくみが多いとされる理由は、男性よりも筋肉量が少ないためです。筋力が足りないと心臓へ血液を押し戻す力が弱いので、血行やリンパの流れが悪くなります。その結果、水分や老廃物が溜まりやすくなり、むくみの原因に。
また生理や妊娠、閉経などホルモンバランスの変化・減少による自律神経の乱れも原因のひとつとされています。また、寒くなると冷えが原因でむくみやすくなりますね。
医療用着圧ソックスは弾性ストッキングとも呼ばれ、一般的には「治療用」「予防用」に分類されます。いずれも、「一般医療機器」として認可を受けています。 さらに、弾性ストッキングの形状も様々です。 つま先が開いているタイプも多くみられます。 つま先がないタイプもあれば、写真のような「モニターホール」があるタイプもあります。 つま先なしタイプは蒸れにくく、足の指の具合を診ることができます。しかし、はだしの部分があるので、靴を履くと臭いやムレの原因になります。 代表的な形状は上記のとおりですが、治療効果については足の関節にかかる「圧迫圧」が指標となります。そもそも弾性ストッキングは足に圧力(圧迫圧)をかけ、血液の停滞を改善して静脈を流すことにより、むくみや下肢静脈瘤の予防をする効果があります。 足関節部での圧迫圧 弾性ストッキングは下記3点が重要ですが、実際に使用する際には弾性ストッキングコンダクターに相談しましょう。 ・足のサイズに合っていますか? ・圧迫圧は適切ですか? ・ご自身の生活スタイルに合っていますか? 日本静脈学会では、弾性ストッキングコンダクターの制度を設けています。コンダクターは治療予防のために継続使用できるよう、適切なサイズや着用の指導を行います。 ※参照:日本静脈学会サイト弾性ストッキングとは
治療用
下肢静脈瘤、静脈血栓後症候群、リンパ浮腫の治療
予防用
むくみ予防、下肢静脈瘤予防
ハイソックスタイプ
よく見かけるタイプで膝上、膝下タイプがあり、片脚だけで販売されていることも。着脱が簡単だが、大腿部(ふともも)はカバーできない。脹脛(ふくらはぎ)だけのサポータータイプもある。
ストッキングタイプ
大腿部もカバーできる。着脱が簡単。太腿の大きさによってはずり落ちることもあるので、サイズ選びが慎重。
パンストタイプ
お腹周りもカバーするので、ストッキングタイプよりずり落ちにくい。やや高価で着脱はソックスタイプより難しい。リンパ浮腫のような、脚の左右の大きさが違う場合は使用できない。
片脚用パンストタイプ
片脚だけ太腿でカットされているので、リンパ浮腫の患者さん向け。蒸し暑くなく、履きやすい。
モニターホールは開いているのが足の甲側なので、靴を履くときはつま先ありか、モニターホール付きを選ぶとよいでしょう。
そのため、むくみや足の血流の症状によって、適切な圧が必要。その見極めをするためには、やはり医師の診断が必要です。
圧迫圧
(単位:mmHg)治療・予防の指標
20未満
血栓症予防、軽度静脈瘤、高齢者静脈瘤、他多疾患による浮腫
20~30
静脈瘤、静脈瘤抜去切除術後、硬化療法後
30~40
皮膚病変のある静脈瘤、血栓症後症候群、リンパ浮腫
40~50
下腿潰瘍を伴う下肢静脈瘤、重症血栓症後症侯群、 中等症リンパ浮腫
50以上
高度リンパ浮腫
コンダクターは「医師、薬剤師、看護師、准看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床工学技士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師のいずれかの資格を有していること」※が必須です。
弾性ストッキングはどのように履けばよいのでしょうか?普通の靴下やハイソックス、パンティストッキングやタイツなど、これらの履き方は、やや個人差や慣れがあるもの。そのため、最初のうちは、弾性ストッキングを使用することに慣れていないために、戸惑ってしまうかもしれません。 このように、履くときは手をストッキングの中に入れ、かかと部分をつまむところから始まります。次に、かかと部分をつまんだまま、手を引き抜いて裏返します。弾性ストッキングの履き方
下記の図は、アルケア株式会社が提供している弾性ストッキングの着脱方法※です。
あくまでも一例なので、病院・弾性ストッキングコンダクターの指導や取扱説明書、メーカーが提供している動画を元に確認しましょう。
普段使っている靴下やハイソックスの履き方とは違いますよね。予防効果を発揮するためにも取扱説明書をよく読んで、間違いのないよう、ステップに従うことが大切です。
また、多少でも脂性のお肌や多汗性の場合は、天花粉(てんかふん、パウダー)でお手入れするのもおすすめです。
弾性ストッキングは、特殊な素材でできています。圧迫圧をかけるために、生ゴムやポリウレタンを原料とした弾性糸というものを用います。伸縮性があるものの化繊のため、中には肌に優しい綿素材を配合したタイプも。圧がかかるときつくなるのと、就寝時に履く場合があるので、蒸れにくい肌に優しいタイプが人気です。 一般的に推奨されている弾性ストッキングの洗い方の例です。 ① ぬるま湯(40℃以下)に市販の中性洗剤を溶かして、手で押し洗いするかネットを利用し洗濯機で洗う。 ② よくすすいで、軽く手でしぼる。(ネットに入れたまま脱水する) ③ 陰干しで乾かす。 各社取扱説明書に洗濯方法が記載されているので、しっかりご覧いただきお手入れしてください。 また、弾性ストッキングは伸縮性があるので、いずれゴムや繊維が劣化して適切な圧迫圧がかからなくなります。装着時間や部位、症状によって異なりますが、6か月程度を目安に交換しましょう。弾性ストッキングのお手入れについて
普段の綿100%の靴下なら、洗濯機で洗って干すだけ。ストッキングやタイツならネットに入れて洗うことが多いと思いますが、弾性ストッキングはどのようにお手入れすればよいでしょうか?
繊維の劣化を防ぐために、「塩素系漂白剤」「消毒剤」「乾燥機」「アイロン」は使用しないようにしましょう。
モニターホール付きや装着部位がわかりやすいポジションマーカー付き、オールシーズン向けなど、ご自身の生活スタイルに合った弾性ストッキングをご確認ください。おすすめの弾性ストッキング
足を強く圧迫するように弾性ストッキングは医療用着圧ソックスとも呼ばれ一般医療機器として認可を受けているものが多い。「治療用」は下肢静脈瘤、静脈血栓後症候群、リンパ浮腫などの症状に使われ、むくみ、下肢静脈瘤に対しての「予防用」もございます。医師の診断のもと適切なサイズや圧を選択してください。 主にはハイソックスタイプ、ストッキングタイプ、パンストタイプ(片足用もあります)腕用など。また、下肢の状態を観察しやすいつま先無しタイプやモニターホールタイプのものもございます。よくある質問
弾性ストッキングとは?
弾性ストッキングにはどんな種類があるの?