【アイフレイルとは?】早めの対策で健康寿命を延ばす

目次

「フレイル」をご存知ですか?フレイルとは2014年日本老年医学会が提唱したもので、身体の衰えや認知力低下が見え始める状態であり、健康と要介護の間を指しています。
フレイルは早期発見で予防や治療を進めることで、介護への進行を遅らせることができます。

身体の衰えを「フレイル」といいますが、さらに視機能の衰えを「目のフレイル=アイフレイル」といいます。アイフレイルについて、その症状や対策などをご紹介します。

アイフレイルとは

2007年に立ち上がった日本眼科啓発会議を中心に、加齢による視機能の低下を「アイフレイル」と呼ぶようになりました。アイフレイルは眼障害の予防や、眼の病気の早期発見につながっています。
視機能が低下すると、スマホやパソコンの画面、テレビを見ることから遠ざかるうえ、車の運転や外出、読書も控えるようになります。これまで当たり前のように送っていた日常生活、すなわちQOL(生活の質)が低下し、フレイルと同様に健康寿命を縮める傾向にあります。
そこで、日本眼科啓発会議はアイフレイルについて啓発活動を行っています。少しでも視機能の異変に気が付いたら、検査や目の寿命を延ばすための対策を講じるよう広めています。

メガネをかけた女性

アイフレイルの要因

アイフレイルの主な原因は、フレイルと同様に「加齢」です。また、加齢の他に喫煙や生活習慣、紫外線、食生活による「外的要因」と、強近視、遺伝要因、持病の有無等による「内的要因」も大きく関わっています。

加齢 眼球の機能低下により視力、視野の予備能が低下。
暗いところに行ったり、夕方になったりすると見えにくさを感じる。
ドライアイや老眼、乱視が出現する。
外的要因 生活習慣、喫煙、紫外線、低栄養、薬剤など
内的要因 構造的な脆弱性(強近視など)、糖尿病、高血圧、高脂血症などの全身要因、遺伝的要因など

こうした要因によって、緑内障や白内障のような眼の病気を発症したり、その予備軍になったりする可能性が高まります。
また視力低下により、歩行中に足元の障害物に気が付かず、転倒することも。高齢であればあるほど骨折に及ぶこともあるので、早いうちからアイフレイルへの意識が必要です。

セルフチェックと眼科検診

日本眼科啓発会議では、40歳を過ぎたら眼科医による目の検査を受けるように提唱しています。同時に、アイフレイルのセルフチェックの方法を紹介しています。

No. チェック項目
1 目が疲れやすくなった
2 夕方になると見にくくなることがある
3 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
4 食事の時にテーブルを汚すことがある
5 眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
6 まぶしく感じやすい
7 まばたきしないとはっきり見えないことがある
8 まっすぐの線が波打って見えることがある
9 段差や階段で危ないと感じたことがある
10 信号や道路標識を見落としたことがある

チェックがゼロ:今のところ目は健康です。

チェックが1つ:目の健康に懸念はあるものの、今すぐに問題があるわけではない。

チェックが2つ以上:アイフレイルの可能性があるので、眼科医に相談を。

※参照:アイフレイル啓発公式サイト

眼科検診は、主に視力検査・眼圧検査・眼底検査です。視力検査は、定期診断を受ける際やメガネ・コンタクトを作る際に受けたことがあると思います。定期診断の眼科項目で法律上必須とされる検査は視力検査のみで、その他の眼科検査は任意です。ただ、40歳を過ぎたら眼圧・眼底検査を受診するよう推奨されています。

眼圧・眼底検査

眼圧検査は一瞬、風を目の表面にあてることで、眼の圧力を測定します。眼圧が高いと緑内障のリスクが高まるので、眼の病気を発見するためには必要な検査です。
眼底検査は眼球の奥の網膜や視神経、血管を検査します。緑内障や糖尿病性網膜症だけではなく、動脈硬化の進行度もこの眼底検査でわかります。
日本眼科学会か日本眼科医会の会員でアイフレイルの診察や研究、啓蒙活動をサポートする眼科医は、アイフレイルアドバイスドクターとしての登録制度があります。リンク先より、お近くで登録されている眼科医を探してみるのも良いでしょう。

アイフレイル アドバイスドクター

ほおっておくと

40歳を過ぎてからの眼科検診を受けず、「視力の低下は年のせいだから」「疲れのせい」「目薬ですっきりすれば大丈夫」といって、そのまま放置してはいけません。もしかすると老眼やドライアイだけではなく、緑内障や白内障、加齢性黄斑変性が進行しているかもしれないからです。
また視力の低下により、これまで問題なくできていた料理、ウォーキング、車の運転にも支障がでてきます。例えば料理中にうっかり包丁で指を切ったり、散歩中に障害物に気が付かず転倒してケガをしたり。
車の運転も免許返上をせざるを得なくなると、日常生活に支障をきたします。さらに、趣味を楽しむことやちょっとした運動をすることも控えてしまうと、身体のフレイルと同様に自立機能が低下します。結果、引きこもりに拍車がかかり、要介護がどんどん進んでしまうことになります。

スマホを持つおじいさん

アイフレイルは目だけではなく、身体の健康寿命を少しでも伸ばすことが目的です。少しでも目の衰えを感じたら、セルフチェックや眼科検診を受けて、ご自身の目を労わってみませんか。

アイフレイルの対策

メガネやコンタクトレンズ

裸眼で視力の低下を感じたら眼科医のもとで視力検診を受けて、メガネやコンタクトレンズを作ります。普段からメガネやコンタクトをお使いであれば、度数が正しいのかどうかを眼科医に確認しましょう。 視力矯正手術のレーシックを受けても老眼はありますし、場合によっては数年後もとの視力に戻る場合があります。レーシックを受けたからといって、アイフレイルと無関係ではないので、眼科検査を受けることをお勧めします。

生活習慣の見直し

最近、就寝以外はスマートフォンやテレビ、パソコンモニター、タブレットのディスプレイに接する機会が多くなりました。その分ブルーライトを浴びる量が増え、眼が疲れやすく、光がちらついてみえることもあります。眼を酷使しすぎないためにも、生活習慣を見直し休憩を設けて、一定時間モニターから目を離して休ませましょう。

伸びをする男性

スマートフォンやタブレットは画面の照度を暗くすると、まぶしさを軽減できます。また文字を大きく太くするなどして、眼の負担を減らすこともできます。
一方、外的要因にあった喫煙や紫外線もアイフレイルの進行の要因です。禁煙ならびに受動喫煙の防止を心がけ、また外出時のサングラスや日傘で紫外線を遮るようにしましょう。

食事

規則正しく、栄養バランスのよい食事をとりましょう。これは目だけではなく、身体のフレイルにもいえることです。目によい栄養素を含む食べ物は下記のとおりです。

ビタミンB1・B2・C 疲れ目、目の充血を防ぐ
ビタミンA 網膜の保護
アントシアニン 疲れ目回復、網膜の色素
アスタキサチン 目の使用による肩・腰の負担を和らげる

アントシアニンはブルーベリーやぶどうに多く含まれていることで有名で、タブレット錠になったサプリメントも発売されています。

ブルーベーリー

眼のケア

簡単にケアできるのは目薬です。ドラッグストアに行くと、様々な種類の目薬が並んでいます。どれが良いかわからないときは、薬剤師や店員に確認しながら、今のご自身の目の状態にあったものを使いましょう。
また目が疲れているからといって、何度も何度も点眼しても効果は変わりません。決められた回数に従うようにしてください。かえって副作用を招くこともあります。

目薬

さらに、瞼(まぶた)を温めることは、血行を改善し疲れ目に効果があるとされています。蒸しタオルや目専用の温熱マスクを利用してみましょう。

蒸しタオルを使う女性

一方、眼瞼清拭(リッドハイジーン)は眼精疲労だけではなく、ドライアイの予防にも有効です。まつ毛の生え際よりさらに内側の際にあるマイボーム腺は、涙の油分を分泌しています。目のまわりに皮脂汚れが詰まってくると、マイボーム腺で油分を分泌できなくなり、ドライアイの原因につながります。
そのため、目のまぶた周りの眼瞼を清潔に保たなければなりません。アイシャンプーはまつ毛だけではなく、眼瞼を洗う洗浄剤として眼科医が勧めています。

メディプロダクト アイシャンプープロ[ベーシックタイプ] 200ml
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メディプロダクト アイシャンプーロング[美容成分配合タイプ]
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メディプロダクト アイシャンプーリフレッシュ[メントール配合タイプ] 95m
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企業の取り組み

フレイルと同様にアイフレイルも、一部企業で啓発活動に取り組んでいます。
ある調剤薬局では、薬の待ち時間にアイフレイルのセルフチェックを促しながら、結果に応じて眼科検診を勧めています。また自動車会社では、高齢者のための運転操作のチェックを行う際に、アイフレイルのセルフチェックも紹介しています。
さらにあるトラック協会では、高齢化が進むトラックドライバーのために目の健康管理とアイフレイルの認知に取り組んでいます。

ジョギングをする男女

生きていく中で、嗅覚、聴覚、そして視覚は大切です。しかし、加齢とともにこれらの機能は低下していきます。フレイルと同様に、いつまでもイキイキと自立した生活を送れるためにはアイフレイルについて知っておくことが欠かせません。
アイフレイルは視覚、すなわち目の健康寿命を少しでも伸ばせるように心がけることが大切です。まずはセルフチェックをして、今の眼の状態を確認してみましょう。

よくある質問

アイフレイルの原因は?

主な原因は加齢です。それに加え、外的要因として生活習慣や喫煙なども影響します。内的要因として糖尿病、高血圧、遺伝的要因などがございます。

アイフレイルの対策方法は?

対策法をいくつかご紹介します。

  • ・スマートフォンやディスプレイと接する時間を減らし目を休息させる。
  • ・禁煙、紫外線を遮ることでアイフレイルの進行を抑制する。
  • ・目に良い栄養素を取り入れる。ビタミンA,B1,B2,C,アントシアニン、アスタキサチンなど。
  • ・目薬による点眼や眼瞼清拭(リッドハイジーン)による目のケア

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