帯状疱疹体験

帯状疱疹の激痛体験談 – 私の闘病日記

目次

体験記~帯状疱疹は突然やってくる

先日、帯状疱疹に罹りました。これまで罹ったことがある身内や友人の話を聞いては「痛そう」「大変だな」と思っていましたが、正直なところ自分が罹るなんて思いもよりませんでした。
ただ、最近テレビCMで帯状疱疹ワクチンについて目にすることがあり、こちらのコラムの記事のとおり、「ワクチンは検討した方が良いかもしれない」と思っていた矢先の疾患でした。

本コラムは個人的な体験を備忘録として残し、疾患したときの処置や経過について残してお役立ちになれば幸いです。なお、症状や経過は個人差があるので、部位や治癒、また紹介する処方箋は必ずしも同じとは限りません。あくまでも参考程度であることご理解ください。

経験したことがない激痛

帯状疱疹からくる痛みは激痛です。「激痛」の2文字で収めるには惜しいほどの痛みです。以前、身内が背中に帯状疱疹を罹った時は「背中から何かが突き刺さるような痛みだった」と話ていましたが、私の場合はジリジリピリピリとした痛みが波のように襲ってくる感覚で、それが夜中に続くのが本当に苦痛でした。

肩こりと思い込み

ゴールデンウィーク後半の夜、リビングでくつろいでいたところ、突然右首~肩に痛みが生じました。もともと右肩は肩こりになりやすく、重症時には腕が上がらないことはもちろん、頭痛や吐き気も感じるほどの痛みが出るので、「GWの旅行中、重い荷物を肩かけしていたからそれが今になって凝ってきたのかな・・」と、肩甲骨を回したり、ストレッチなどして時間が経てば痛みは治まるだろう、と、それほど気にせず過ごしていました。

肩こりの女性

ところが、一向に痛みが引くことはありませんでした。

帯状疱疹はどんな痛み?

私の場合は肩こりを疑っていたので、モヤモヤした痛みが続き、突き刺す感じはなかったのですが、筋肉痛ではないので患部を押したり揉んだりしても、まったく痛みが緩和されることなく徐々にピリピリとしたいわゆる神経痛を感じるようになりました。

自分自身、痛みには強いと思っていたのと女性ならではの生理痛や歯痛、捻挫、切り傷は経験したことがあるとはいえ、夜中に目が覚めるほどの帯状疱疹の激痛は生まれて初めての経験で、できることなら二度と味わいたくないものです。

帯状疱疹後神経痛 (PHN)は発疹が収まった後も持続的に痛みが続くことが多いようです。締め付けるような、ズキズキする痛みです。さらにちょっと触れただけでも痛みを感じる「アロディニア」も生じます。アロディニアは服が擦れただけでも痛みを感じるほど、日常生活に支障をきたす場合も。私の場合は首から肩に症状が出ましたが、これが背中だったら、衣類や寝具と重なるだけで痛くなっていたかもしれないので、正直なところ部位については運としか言いようがないかもしれません。

間違っていた保冷剤

痛みは治まるどころか、ますます強まってきます。この時点でさえもこの症状は肩こりからくる「筋肉痛」ではなく「神経痛」であることに気付くことなく、寝る時は保冷剤を手ぬぐいで巻いて肩にあてながら寝ていました。痛みで目が覚めては保冷剤を替え、鎮痛剤を飲む。そして睡眠不足の繰り返し、思えばこの睡眠不足こそ帯状疱疹を助長したのかもしれません。

保冷剤

朝の通勤時でさえ服の下に肩に当てていたほど、保冷剤が手放せなくなっていたのですが、のちに皮膚科で診察してもらったときに医師から「帯状疱疹は冷やすと余計痛みが増すので、絶対に冷やしてはいけません」と言われ、ショックを受けたのは今でも覚えています。また塗り薬の湿布薬も使用していましたが、これもまたかぶれを起こす原因になるそうです。
とにかく、自分が帯状疱疹に罹ったこと、使ってはいけない保冷剤や湿布薬でケアしていた精神的ダメージ、そして肩と首の痛みの身体的ダメージは計り知れず・・・。

皮膚科にかかる

常温に戻った保冷剤を凍ったものに取り換えようとした時に、ふと右顔の下部分を触ると発疹ができていました。正面からは目立たないものの、鏡で見ると明らかに赤い発疹です。

顔を触る女性

また、右腋下近くの腕と右鎖骨周辺にも発疹が出ていました。実は鎖骨の発疹は少し前から気にはなっていたものの、保冷剤の素材が皮膚に当たっていたので、バリア機能低下している部位との接触で、炎症が起きているのかな?と思い込んでいました。しかし、保冷剤をあてていなかった腕の発疹を見てようやく「これはもしや帯状疱疹かも?」とよぎってきたのです。
帯状疱疹は背中にできるイメージが強かったせいか、スマホで「帯状疱疹 肩 首」というキーワードで調べたところ、『胸や背中が最も多い部位であるが、顔、首、腕、お腹、脇の下、足など、全身のどこでも発症する可能性がある』だったので、とうとう帯状疱疹を疑わざる得えず、発疹に気がついたのが平日金曜の夜だったので、皮膚科を受診したのは翌日土曜の朝一番となりました。

診察と処方箋

幸いなことに、自宅から歩いて約5分のところに皮膚科があり、医師に症状を説明し発疹部位を見せたところ、「帯状疱疹ですね」と即答でした。

・とにかく安静にすること
・薬を処方するので必ず服用すること
・冷やしてはいけない
・お風呂は大丈夫 とのことでした。

私の場合、右顔下にも発疹があったので、眼や耳に障害が出ないかは念入りに診察してもらいました。帯状疱疹の合併症として、視力障碍や顔面神経の麻痺を起こす場合があるからです。
「ファムシクロビル錠250mg「JG」」を1週間分、「アズノール軟膏0.033%」を処方してもらいました。抗ウイルス薬のファムシクロビル錠はウイルスによる感染症に治療薬で、水疱瘡のウイルス増殖を防ぐ働きがあります。アズノール軟膏は皮膚炎など広く皮膚疾患に用いる軟膏です。

アズノール軟膏

その他に鎮痛薬としてロキソニンも処方してもらいました。
抗ウイルス薬は効果が出るまで2-3日かかると言われており、飲んですぐ効果が出るものではないため、正直なところ毎食後7日間服用していても、痛みが落ち着かないせいか「本当に効いているのだろうか・・・」と不安で仕方ありませんでした。

帯状疱疹と日常生活

帯状疱疹は感染症ではないので、日常生活に制限はありません。そもそも帯状疱疹は疲れが出たときに症状が出るので、とにかく安静にする、しっかり休むことが大切でした。私の場合土曜に診察を受け、その週末土日は家からほぼ外出することなく休んでいたのですが、月曜は出社できる状況ではなく、お休みをいただきました。その翌日出社したものの、通勤の疲れと痛みが続いたため、顔色が悪かったせいか周囲から「大丈夫?」と言われるほど。結局その週はリモートに切り替えて、自宅で仕事ができたのは幸いでした。
入浴は問題なかったのですが、身体を洗ったりタオルで拭くときは、発疹がある部位は強くこすらないように気を付けました。アズノール軟膏は非常にべたつきがあるため、お風呂上りが良いと医師から言われていたのですが、想像以上のべたつきで、パジャマにも響いてしまうほど。私はロールフィルムをカットして軟膏を塗った部位の上に貼って過ごしていました。

ロールフィルム
防水フィルム アルフレッサロールフィルム
防水フィルム アルフレッサロールフィルム

医師に顔のスキンケアについて相談したところ、「保湿」は大丈夫とのことでしたが、発疹部のメイクは避けた方が良いと言われたので、その部位だけファンデーション等は塗らずに過ごしました。
※身体を洗う洗浄料やスキンケアは普段使いのもので、オーガニックや無添加製品ではなくても問題ありませんでした。

アルケア リモイスme保湿ローション
アルケア リモイスme保湿ローション

食事も特に指示はありません。ただアルコールは血管を拡張させて炎症をひどくしてしまうため、控えるようにとのことでした。かゆくなった時は、うっかり爪で掻いてしまうと、ヒリヒリ傷みが増長(明らかに左右同じ部位をたたくとピリピリした刺激の有無を感じるほど)します。やはりバリア機能低下で外部刺激に肌が弱くなっているのを実感。そのためかゆくなった時は指のトントンと叩いて和らげています。

1週間後の再診

抗ウイルス薬を飲み切ったので、1週間後に再度受診しました。この日は低気圧と激しい風雨のせいか、痛みが朝からズキズキと続いていたのですが、ちょうど顔の発疹が小さくなってきたこと、また他部位の発疹がみられなかったことから、医師からは、「抗ウイルス薬の服用期間は1週間で、あとは様子見で」とのことで、診察は終わりました。また、発疹部に塗る軟膏がアズノールから「ヒルドイドソフト軟膏0.3%」に切り替えるよう処方してもらいました。ヒルドイドは皮膚の保湿作用、炎症を和らげて結構をよくする作用があるクリーム軟膏です。

ヒルロイド

アズノールよりもべたつかず、これでロールフィルムのカバーが不要になったのは嬉しい限り。

とはいえ、まだズキズキとした痛みはあるのでロキソニンも処方してもらいました。医師からは「一旦ウイルスの治療は終わり、あとは痛みが治まり発疹がかさぶたになって取れていくのは2週間~1か月半位、その間何かあればまた受診してください」言われました。

帯状疱疹ワクチンについて

現在、各自治体では帯状疱疹のワクチン接種の告知がさかんに行われています。現在では65歳以上の人が帯状疱疹ワクチンの定期接種の対象となっていますが、50歳以上でも予防として任意接種は可能なので、自治体によっては50歳以上を対象に助成を行っているケースがあります。(私自身はテレビCMやWEBの広告で目にしていたので、ワクチンの種類を調べたり、今住んでいる自治体の動きを確認する程度でした。なお私の住んでいる自治体では65歳以上が対象ですが、具体的な医療機関や実施期間は未定でした)

予防接種

現在の帯状疱疹予防ワクチンは、以下の2種類があります。

  従来型生ワクチン(ビケン) 不活化ワクチン(シングリックス)
回数 1回(皮下に接種) 2回(筋肉内に接種)
接種間隔 通常、2か月以上の間隔を置いて2回接種
接種条件 病気や治療によって、免疫の低下している方は接種不可 免疫の状態に関わらず接種可
対象年齢 50歳以上 50歳以上
接種費用 2,000~4,000円程度 1回7,000~18,000円程度上
帯状疱疹の予防効果 接種1年後 6割程度 接種1年後 9割以上
帯状疱疹後神経痛への効果 接種3年後 6割程度 接種3年後 9割以上
接種後の副反応 発赤 発赤、筋肉痛、疲労、疼痛

どちらのワクチンがよいかどうかは、費用や副反応等にも差があるので、最終的には個人の判断ですが、やはりワクチンの有効性を加味すると組み換えワクチンの方が良いのかもしれません。

帯状疱疹は再発するの?

医師に「帯状疱疹は再発するのでしょうか?」と恐る恐る聞いてみたところ、断言はされませんでした。「ほとんどの場合は一度限りですが、再度発症する可能性はゼロではないです」と再発はゼロとは限らないとのこと。これは免疫力の低下や疲労困憊によるものなので、できるだけストレスをためず、バランスのよい睡眠と食事を、適度な運動をして健康に過ごすことが最善策だそうです。

ワクチンは打つべき?

再発のリスクはゼロではないので、医師はワクチンを打つことに問題はないとのことでした。ただし、症状があるうち接種はせずに、免疫機能を活性化させ、身体の抵抗力を高める期間を置いた方が良い=すなわち発症から1年後以降であれば接種を検討しても良いそうです。

免疫

個人的には「この痛みはもう二度と感じたくない!」という思いが強いので、治ったらすぐにでもワクチンを打ちたい気分でしたが、来年以降検討しようと思いました。
もし、帯状疱疹に罹っていない50歳以上の方へ、可能であれば接種することをおすすめします。理由は何より激痛に耐えられるかどうかです。アレルギーや化粧品が合わずに顔に発疹や赤みを帯びたりすると、気になって仕方ないことが多いのですが、それよりも疼痛に耐えられない、いつになったら痛みが治まるのかの先行き不安でいっぱいいっぱいになり、日常生活に支障をきたしました。

最近では帯状疱疹ワクチンが認知症予防効果※を示されたという報告があるなど、恐らく今後こういった研究が薦められ、ワクチンについての知識や情報が盛んになる傾向と思われます。こうしたメリットや副反応へのデメリット等、ワクチンに関して正しい情報をしっかり見極めることが必要だと改めて思いました。

※参照:A natural experiment on the effect of herpes zoster vaccination on dementia

       自分へのまとめ
  • ● 帯状疱疹は罹患しないにこしたことはない。そのためにもしっかり休養をとりストレスをためず健康を意識した生活を送る事
  • ● 帯状疱疹に罹ったとしても部位を冷やさないこと
  • ● 処方された薬はしっかり服用する
  • ● 再発リスクはゼロではないる
  • ● 帯状疱疹ワクチンは2種類あり、多くの自治体は65歳以上から定期接種を呼び掛けている。一部65歳以下でも補助金等の仕組みを設けている自治体もあるので、住んでいる自治体の広報を確認する。
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