強い尿意でトイレに行きたい女性

女性の頻尿トラブル~「トイレが近い」「ひどい尿漏れ」の原因と対策

目次

女性が加齢につれて増えるお悩みのひとつ、排尿トラブル。「トイレが近い」「尿が漏れる」などの症状は、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。

このページでは、女性に多い排尿トラブルの原因と対策について解説します。過活動膀胱や腹圧性尿失禁などの具体的な症状や原因、そして日常生活でできる予防法や治療法を詳しくご紹介します。 排尿トラブルでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

トイレが近い、ひどい尿漏れの原因は?

女性は男性に比べて尿道が短く、骨盤底筋が弱くなりやすいことから、尿漏れや頻尿などの排尿トラブルが起こりやすいと言われています。

尿漏でびっくりしている女性

尿もれや頻尿の原因は、大きく分けて2つあります。 ひとつは、膀胱の筋肉が過剰に収縮して、尿意を頻繁に感じてしまう「過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)」です。「過活動膀胱」は、加齢や生活習慣などが原因で起こることが多く、突然の尿意や我慢できないほどの尿意、尿漏れを伴うこともあります。
もうひとつは、咳やくしゃみ、重いものを持った時など、お腹に力がかかった時に尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」です。「腹圧性尿失禁」は、出産や肥満、40代以降の加齢などが原因で起こることが多く、少量の尿漏れが繰り返し起こります。
この他にも、尿路感染症や膀胱炎、子宮内膜症、膀胱結石、心因性によるもの、薬の副作用などが原因で尿漏れや頻尿が起こることもあります。「トイレが近い事が気になる」「仕事中や移動中もトイレが気になる」「トイレに駆け込んでも尿漏れがひどかった」など、排尿のお悩みは加齢だけのせいではありません。泌尿器科を受診することで、治療や予防につながることもあるので、まずは泌尿科医に相談を。

 

過活動膀胱について

過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)とは、尿意切迫感、昼夜の頻尿、尿失禁などの症状が日常生活に支障をきたす病気です。男性だけではなく女性にも多く、閉経後の40代以降に増加します。 過活動膀胱の症状には、以下のようなものがあります。

      
  • •前触れなく急に強い尿意を感じ、我慢できない
  • •尿意に間に合わず尿が漏れてしまう
  • •日中8回以上トイレに行く
  • •夜間に1回以上トイレに行く

過活動膀胱(OAB)の有病率は,20歳以上で11.9%,40歳以上で13.8%であり,年齢とともに上昇していることがわかっています。※

※参照:日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン[第3版]

過活動膀胱の症状

過活動膀胱は膀胱が過敏になり尿が十分にたまっていないのに急な尿意を引き起こす状態です。

症状としては

尿意で我慢する女性

・尿意切迫感:前触れなく強い尿意を感じる。漏れそうで我慢できないほどの症状。
・切迫性尿失禁:尿意切迫感の症状に併せて、さらにトイレまで我慢できずに漏れてしまう症状。
・昼間頻尿:通常日中にトイレに行くのは5~7回が正常と言われています。過活動膀胱により8回以上トイレに行くことになると昼間頻尿の状態です。
・夜間頻尿:通常就寝中にトイレに行くのは0回が正常と言われていますが。1回以上トイレに起きるとなると、夜間頻尿の状態です。

過活動膀胱の原因

過活動膀胱は膀胱の働きが異常を生じ、尿が十分に溜まっていないにも関わらず、尿意を強く感じたり、尿を我慢できずに漏らしてしまう症状です。原因はさまざまで、加齢による膀胱の筋力低下や神経障害、骨盤底筋の緩みなどが挙げられます。

過活動膀胱

過活動膀胱の原因となる主な要因として挙げられるのが、
•加齢によって膀胱の筋肉が弱くなり、尿を溜める力が低下し、わずかな尿でも膀胱が満杯になったように感じ尿意を感じる。
•脳梗塞や脊髄の神経の損傷、多発性硬化症など、神経回路の障害が起こり、脳から膀胱への信号がうまく伝わらなくなり、尿意がコントロールできなくなる。
•出産や加齢により膀胱、尿道、子宮などを支える骨盤底筋が弱くなる。

骨盤底筋ゆるみ

•膀胱や尿道に細菌が感染すると、膀胱が過敏になり、尿意を強く感じやすくなります。
•抗うつ薬や利尿剤など、一部の薬の副作用として過活動膀胱が発生することがあります。

過活動膀胱の治療

尿意がコントロールできなくなったり、尿漏れや頻尿が続くと泌尿器科を受診しましょう。クリニック・病院では細菌や血尿を調べるために尿検査を行います。さらに問診の内容によってエコー検査をし、膀胱内の尿量や腎臓や膀胱の形状を調べます。
過活動膀胱の治療方法は、生活習慣の改善と薬物治療、また電気刺激治療が挙げられます。

治療法 内容
生活習慣の改善 水分摂取量の調整、カフェインやアルコールの制限、禁煙、排尿習慣の改善、骨盤底筋トレーニング
薬物療法 抗コリン薬、β3アドレナリン受容体作動薬などがあります。抗コリン剤は過度な膀胱の収縮を抑えます。β3アドレナリン受容体作動薬は膀胱の緊張を和らげる効果があります。
電気刺激治療法 電気で刺激を与え骨盤底筋を鍛えたり、膀胱や尿道の神経の働きを調整します。

過活動膀胱の治療で手術を行うことは基本的にはないようです。治療自体は患者さんの症状や生活習慣などを考慮して、医師と相談しながら治療に専念しましょう。

 

腹圧性尿失禁について

腹圧性尿失禁は、骨盤底筋の衰えによって尿道が十分に締まらなくなり、腹圧がかかった時に尿が漏れやすくなる症状です。女性に多く、出産経験のある方や閉経後の女性に発症しやすいと言われています。

尿意の女性

腹圧性尿失禁の主な原因は、骨盤底筋の衰えです。骨盤底筋とは、膀胱や子宮、直腸を支える筋肉でハンモックにように張り巡らされて、骨盤内の臓器を支えています。さらに尿が漏れないように膀胱や尿道を締める役割も果たしています。年齢や出産、肥満などによって骨盤底筋が弱ってしまうと、尿道が十分に締まらなくなり、腹圧がかかった時に尿が漏れやすくなるのです。
また閉経後の女性ホルモン減少も骨盤底筋の緩みの原因のひとつです。

腹圧性尿失禁は、適切な治療によって改善することが可能です。もし、腹圧性尿失禁でお困りの場合は、早めに医師に相談しましょう。

腹圧性尿失禁の症状

腹圧性尿失禁は下記のようなお腹に力が入る動きにより、尿が漏れてしまう症状です。

      
  • •咳、くしゃみ、ランニングなど運動、重いものを持ち上げたとき
  • •笑ったとき
  • •階段や坂道の上り下り
くしゃみの女性

腹圧性尿失禁は、肥満や便秘も骨盤底筋に負担をかけてしまいます。症状が軽い場合は、骨盤底筋トレーニングや生活習慣の見直しにより改善することがあります。症状が重い場合は、薬物療法や尿道を吊り上げる手術が必要になることもあります。

腹圧性尿失禁の原因

腹圧性尿失禁は、咳、くしゃみ、笑い、重いものを持ち上げたときなど、お腹に力が入ったときに尿がもれてしまう病気です。腹圧がかかると、膀胱に圧力がかかり、尿の流れをコントロールする尿道括約筋が緩んで尿がもれてしまいます。

腹圧性尿失禁の原因は、以下のものが考えられます。
• 加齢: 女性ホルモンの減少、年齢とともに骨盤底筋が弱くなり、尿道括約筋をうまく閉じることができなくなります。
• 妊娠と出産: 骨盤底筋が妊娠中に胎児の重みで圧迫、出産後は引き延ばされて緩んでしまいます。若いうちは自然に回復しますが、年齢を重ねるとダメージを引きずったままで、加齢につれて筋力が低下し再び緩んでしまいます。
• 肥満: 腹部の脂肪が増え、膀胱に圧力がかかりやすくなります。
• 便秘: 便が膀胱を圧迫し、尿道括約筋をうまく閉じることができなくなります。

このように出産や加齢は女性にとって防ぎようがありませんが、肥満や便秘は日常生活の改善で予防につながるので、改めて見直してみてはいかがでしょうか。

日常生活でできる予防

尿トラブルを防ぐための日常生活でできる予防対策があります。膀胱訓練は、排尿の間隔を徐々に延ばすことで、膀胱の容量を増やす訓練です。骨盤底筋トレーニングは、尿道や肛門を締める筋肉を鍛えることで、尿もれを防ぐ効果が期待できます。

膀胱訓練

膀胱訓練は、尿意コントロールを改善するための有効な方法です。これは、尿意を感じる間隔を徐々に伸ばし、膀胱の容量を増やすことで、トイレに行く回数を減らすことを目指します。

膀胱訓練を行う際は、以下の手順が有効です。

• 排尿間隔を徐々に長くする: 15分おきにトイレに行っていたら、20分おきに、その後25分おきに、というように徐々に間隔を伸ばしていきます。
• 尿意を我慢する: 尿意を感じても、我慢できる限り我慢します。これは、膀胱の容量を増やすのに役立ちます。
• 水分を適切に摂取する: 十分な水分を摂取することで、尿が薄まり、膀胱への負担を軽減します。ただし利尿作用があるカフェインやアルコールは控えましょう。
• 排尿記録をつける: 排尿した時間や量、尿意の程度などを記録することで、自分の排尿パターンを把握することができます。

膀胱訓練は、すぐに効果が出るわけではありません。根気強く続けることで、徐々に効果が現れてきます。ただし、膀胱訓練が難しい場合や排尿障害に不安がある場合は、医師に相談することをおすすめします。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋とは、膀胱や子宮などの臓器を支えている筋肉で、加齢や肥満便秘、出産を経験したりすることで衰えてしまいます。そこで、骨盤底筋を鍛えるための「骨盤底筋トレーニング」が有効です。

代表的な骨盤底筋トレーニングの基本は

      
  • ① まず仰向けに寝て、膝を立てます。
  • ② 尿道、肛門、膣を締めるように意識して、お尻の穴を引き締めます。
  • ③ 3秒間キープしたら、ゆっくり力を抜きます。これを2~3回繰り返します。少しずつキープする時間を延ばしてみましょう。
骨盤底筋トレーニング

この基本の動きを座ったまま行うとテレビを見ながらでもトレーニングが可能ですし、一方、座るだけで骨盤底筋のトレーニングになるクッションも市販されています。

朝日産業 頻尿尿漏れトレーニングクッション もれトレ
朝日産業 頻尿尿漏れトレーニングクッション もれトレ

座るだけで骨盤と腹筋トレーニング

まとめ

「トイレが近い」「慌ててトイレに行ったら漏れてしまった」「どこでもトイレに行きたくなるので落ち着かない」といった尿に関するお悩み。QOL(Quality of Life)が低下し、不安で睡眠不足やストレス、気軽に外出ができず引きこもってしまうなど、日常生活に支障をきたします。

イキイキとした女性

女性にとっての排尿トラブルは恥ずかしさから相談相手がおらず、一人で悩んでいる方が多く「年のせい」と諦めやすいもの。薬物療法や骨盤底筋トレーニングなど治療や予防法があるので、気になる症状がある場合は、我慢せずに医師に相談してみませんか?

よくある質問

なぜ男性より女性の尿漏れが多いのですか?

男性の尿道が約20cmでⅬ字型ですが、女性は約4cmで真っすぐな形状のため、漏れやすい構造です。さらに妊娠出産、加齢と共に女性ホルモン減少に伴い、骨盤底筋が緩みやすくなり尿が漏れやすくなる原因となっています。

過活動膀胱と腹圧性尿失禁の違いは?

どちらも尿が漏れやすいのですが、過活動膀胱は膀胱に尿が十分に溜まっていなくても勝手に収縮し尿意を引き起こす状態です。腹圧性尿失禁はお腹に力を入れたら尿が漏れてしまう、骨盤底筋の緩みが大きな原因です。もちろん過活動膀胱も骨盤底筋が緩んで我慢しきれずに尿が漏れてしまう場合もありますが、基本は膀胱の状態を調べてから診断されます。

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