花粉症

【2024年】今年の花粉飛散予測と花粉症予防・対策

目次
追記更新

花粉症とは

毎年、1月中旬になると日本気象協会から花粉飛散予測が発表されます。鼻炎市販薬のテレビCMを見かけるようになり、だんだん憂鬱になる「花粉症」。

2月頃になると、九州から関東にかけてスギ花粉が飛散し始めると言われています。

さらに、その花粉の飛散量が「去年より〇倍多くなる」と聞くと、ため息が出る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

花粉症は、花粉によって人の身体で起きるアレルギー反応です。鼻づまり、くしゃみ、鼻水といった鼻の炎症、目がかゆくなったり、赤くなったり、涙が出やすくなる目の炎症、発熱、咳やのどの痛み、さらに、身体全体のかゆみ、下痢をしやすくなるなど、アレルギーの部位や症状は個人差があるようです。

いずれにせよ、花粉が飛散する期間は数日ではなく、2~3か月近く続くもの。花粉が飛散している間は通院やアレルギーを起こす部位のケアが大切です。

花粉症は、日本人とは切りたくても切れない病気です。少しでも症状が和らぐような花粉症予防・対策のポイントをご紹介します。 

花粉症の歴史

花粉症という病気は、この数十年の間に耳にするようにも思えます。

しかし、実は花粉症は現代病ではありません。古くは紀元前のギリシャや中国で「風(=飛散)、体質(アレルギーの有無)、季節(=花粉が飛ぶ時期)の病気」、すなわち花粉症と思われる記述が残っているそうです。

なお、日本の最初の花粉症症例は、1961年のブタクサ花粉症が記録されています。次いで、今や代表的なスギ花粉症、カモガヤ花粉症、ヨモギ花粉症・・・と、現在までなんと80種類の植物が引き起こすアレルギー症例があるようです。

スギ花粉は冬~春にかけて飛散しますが、植物によって花粉が飛ぶ時期が異なり、夏に発症するケースもあります。

では、なぜここまで花粉症が急増したのでしょうか。日本は島国で海に囲まれた地形ですが、実は森林が国土の70%以上を占めています。

そのうちの40%が人工的に作られた森林です。戦時中、日本は軍事物資を得るために、広葉樹を伐採してきました。

戦後、今度は広葉樹ではなく、スギやヒノキといった針葉樹を植林しようと、政府が定めた「拡大造林政策」によって、故意に造林してきました。

スギやヒノキは、植林してから花粉を飛散するまで約30年かかると言われています。この拡大造林政策が1960年以降から始まったので、約30年の時代を超えて、毎年のように花粉の飛散量が増えてしまい、結果、花粉症の症状を訴える人も増加したと言われています。

また花粉の飛散量が増えてきたのと同時に、人のアレルギー物質に対する身体の免疫力も低下しています。

免疫力の低下は生活習慣、食生活の変化、喫煙や飲酒、ストレスなど現代人ならではの原因とされているので、予防のためにも生活習慣を見直して、免疫力をつけるように心がけましょう。

発症について

花粉症の発症は遺伝の影響もあるようですが、環境の要因が大きいとされています。「去年まで花粉症とは縁がなかったのに、今年になって発症した」と、ある日突然花粉症を患うことも。

これは、花粉症に限らずアレルギー症状の仕組みによります。体内にアレルギーの原因物質が入ったら、その物質を無くすための抗体が生成されるのですが、その原因物質である抗原が一定量を超えてしまうと、アレルギーを発症します。

抗体が作られる量は免疫力や環境に左右されるので、これまで花粉症に罹ったことがないからと安心するのは禁物です。

アレルギーを起こす原因物質の検査は医療機関で行っているので、花粉症のような症状を感じたら、医療機関で検査をしてみてはいかがでしょうか。

症状について

鼻まわり アレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみ)
喉や口まわり 咳、喉の腫れ、かゆみ、イガイガ感
目のまわり 涙目、充血、かゆみ
その他 頭痛、湿疹、肌あれ

一般的な症状としては上記があげられます。症状自体は軽度でも、24時間毎日のように続いてしまうと身体への負担、そしてそこからのストレスは計り知れません。

また新型コロナウィルス感染症の影響で、医療機関への通院も控えがちになると、症状は治まるどころかひどくなる一方です。

加えてくしゃみや咳をするのは、新型コロナウィルス感染症の感染原因にもなります。あまり人前で症状をあらわにするのは気が引けてしまいます。

まずは受診をして検査を受けるようにしましょう。QOL(Quality Of Life)を向上させて花粉シーズンをストレスなく、少しでも快適な生活を送れるようにケアが大切です。

引用: ©LSI Medience Corporation.

花粉皮膚炎(花粉による肌荒れ)

花粉による肌荒れ

花粉症の症状として、最近では「花粉皮膚炎=肌荒れ」も注目されています。症状は「かゆみ、赤み、ひりひり、ぶつぶつ」といった症状で、花粉皮膚炎の原因は皮膚の表皮細胞に花粉たんぱく(=異物)が付着した時に、取り除こうとする免疫反応によるものです。本来は異物が付着しても、皮膚本来のバリア機能により保護するのですが、花粉が飛散する時期は空気が乾燥しており、皮膚のバリア機能が低下するので、花粉皮膚炎にかかりやすくなります。特に春一番のような強風の影響で、露出した肌に花粉が付着しやすい時期は、皮膚炎を起こし、皮膚科を受診する人が増えているようです。

肌のバリア機能

冬から春の乾燥時期、花粉皮膚炎に罹らないように、日ごろから肌のバリア機能を高める予防が必要でしょう。

 

花粉症の予防・対策について

診療科は

花粉症と思ったら、まずどの診療科にかかればよいでしょうか?鼻づまりや鼻水の症状があると、つい「風邪かな?」と思うかもしれませんが、目にかゆみを感じたり、症状が長引いたりする場合は花粉症の可能性が大きいです。

いずれにせよ症状をお医者さんに診てもらい、診断を受けるようにしてください。

症状が出る部位により、アレルギー外来、耳鼻科・耳鼻咽喉科、眼科、内科などの診療科を選ぶようにしましょう。病院やクリニックでは花粉症かどうかの検査を行います。

下記は検査の一部です。問診時の状況によって検査内容が異なります。

  • 鼻汁中好酸球数

    好酸球とは白血球の一種です。アレルギー反応によりこの好酸球が増加します。鼻汁にこの好酸球がないかを調べる検査です。

  • 鼻誘発テスト

    花粉エキス(アレルゲン)が付いた紙を鼻の粘膜に反応させるテストです。

  • 皮膚テスト(スクラッチテスト)

    皮膚を少し引っ搔いて傷をつけます。そこに花粉エキス(アレルゲン)を付着して刺激させます。その皮膚の反応をみるテストです。

  • 血液検査(特異的IgE抗体)

    アレルゲン物質は体内でIgE抗体と結びつく性質から、採血をしてその血液の中にIgE抗体があるかないか調べます。

他にも点眼や眼の粘膜に反応させるなど、検査内容はさまざまです。

治療法について

アレルギー症状を少しでも抑えるための「対症療法」、完治させるための「根治療法=免疫療法」が花粉症の治療法として挙げられます。

対症療法は投薬による薬物療法(飲み薬、点眼や点鼻)やレーザー手術のことで、一般的な治療法として処方されています。

①薬物療法

  • 抗ヒスタミン薬

    薬物療法ではこの「抗ヒスタミン薬」を服用するのが主流です。文字のとおりヒスタミンの働きを抑え(=抗)症状を緩和させます。

    ただし、この「抗ヒスタミン薬」はアレルギー症状に効果的である一方、眠気、集中力や判断力の低下といった「鈍脳」を引き起こすこともあります。

    このため最近では、新しい抗アレルギー薬として「第二世代抗ヒスタミン薬」も開発されています。

  • 抗ロイコトリエン薬

    ロイコトリエンはヒスタミンと同じく、アレルギー症状を招く原因物質です。主に鼻づまりを起こす原因物質とされています。ひどい鼻づまりがある症状に用いられます。

  • 鼻噴霧用(局所)ステロイド薬

    ステロイドは副作用が強いと思われがちですが、この鼻噴霧用はあくまでも花粉症に対して炎症を抑える薬なので、副作用は少ないようです。

    その他にも点眼用の抗生物質なども使われます。

  • レーザー療法

    レーザーによる治療は、投薬でも症状が治まらない場合、特に鼻づまりに有効です。鼻粘膜の表面に専用の治療器でレーザーをあてて、粘膜を焼きます。

    焼くといっても火ではなく、炭酸ガスのレーザーを使用します。痛みがほとんどないので入院の必要もありません。

    妊娠中や授乳中の方、また薬を飲むと眠気が出てしまう方、作業効率が下がってしまう方、薬を嫌がるお子様にも。レーザー療法は健康保険が適用されます。

②免疫療法

根治治療として挙げられるのが「アレルゲン免疫療法」です。名前のとおり、アレルギー症状の原因となるアレルゲンを身体に投与し、自らアレルギーに慣らしていく=免疫をつけていく治療です。

これまでは皮下注射による「皮下免疫療法」が主流でしたが、最近は、治療薬を服用する「舌下免疫療法」があり、病院に通うことなく自宅で治療することができるようになっています。少しづつ体内に免疫をつけるため、治療薬の服用期間は3年以上が推奨されています。

自宅でできる花粉症予防について

症状が出てから病院にかかる方が多いですが、花粉の飛散量が多い日に、病院やクリニックの診察や処方箋を待つのに、待合室では収まりきらず、外まで人が並んでいることもしばしばみられます。

また新型コロナウィルス感染症の影響もあり、人が密になるところは避けたいところですね。さらにQOL(Quality Of Life)を保つためにも、普段から少しでも症状を抑えるようにセルフケアをしましょう。

最近、テレビや新聞、インターネットの天気予報において花粉の飛散量が伝えられています。花粉が飛散しやすいタイミングを覚えておくと、事前に準備ができますね。

  • よく晴れた日、または曇りの日
  • 雨が降った翌日
  • 最高気温が高い日
  • 乾燥している
  • 強い南風から北風になった日

①マスクをつける

今や新型コロナウィルス感染症予防のために、ほとんどの人がマスクを着用しています。

一時期はマスクが入手困難となり、花粉症をお持ちの方は非常に大変な思いをされたと察します。

その後、不織布マスクの価格も下がり、コンビニエンスストアでも手に入るようになりました。

ウィルスと同様に鼻や口腔内に花粉が付着しないよう、しっかりマスクをして花粉をカットしましょう。また目のかゆみや炎症を防ぐための、専用の眼鏡やゴーグルもございます。

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②屋内に花粉を持ち込まない

花粉は外を移動中に、上着や髪の毛、カバンなどに付着します。そのままの状態で自宅に帰ると、屋内に花粉を持ち込んでしまうことに。

帰宅後は玄関などで花粉を払い落しましょう。手を洗うのはもちろん、うがいも効果的です。

洗濯物は部屋干しを避けましょう。静電気があると衣服に花粉が付きやすいため、近頃は静電気防止/花粉対策の柔軟剤が販売されているので、季節に合わせて柔軟剤を替えることもおすすめです。

また布団や寝具の外干しも避けて、布団乾燥機を使うようにしてください。

暖かくなると窓を開けて空気の入れ替えをしたくなりますよね。窓を開けてしまうと花粉が部屋に入ってくるだけではなく、網戸やサッシ、カーテンに付着してしまいます。

なるべく花粉が付着しないようにこまめな掃除、拭き取りを欠かさないようにしましょう。

空気清浄機には数多くの種類があります。機能やメンテナンスの必要性などを加味してお選びください。

③こまめに洗浄する

アレルギー反応を起こす部位から、いかに花粉を洗い落とすかが重要です。

鼻うがいや鼻洗浄は、鼻の中に付着した花粉やほこりといったアレルゲンとなる物質や細菌を洗い落します。また鼻のとおりがよくなり、鼻づまりを防ぎます。

さらに鼻の粘膜が湿った状態になるので、乾燥を防ぎ、くしゃみやムズムズした違和感を防いでくれます。

どうしても鼻うがいは痛そうなイメージがありますが、近頃の鼻洗浄はツンとならないものが多く、子供から大人まで無理なくお使いいただけます。

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眼の症状には、市販の花粉をブロックする点眼薬がございますが、眼の中(眼球)だけではなく、眼のかゆみでこすったときに目の周りに花粉が残っていることもあります。

また花粉が残ったまま点眼すると、目薬の先に花粉が付いてしまうことも。点眼前はアイコットンで拭き取るか、アイシャンプーで目元やまつ毛についた花粉をしっかり落としましょう。

目の周りの皮膚は薄いのでデリケート。アルコールフリーやパラベンフリーで安心安全な原材料のものを選んでください。

個別包装しているタイプが多いので、ポーチなどに入れておくと持ち運びにも便利です。

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④肌から花粉を守る

花粉症皮膚炎を予防するには、肌に花粉を触れさせないことが一番です。お顔だけではなく、首元や腕など知らず知らずのうちに、花粉が肌に触れる機会が増えます。マフラーをしたり、コロコロのような粘着クリーナーを用いて花粉を取り除きましょう。

さらに、肌のバリア機能を維持するためには「保湿」を心がけること。肌にしっかり水分を補給して、乾燥から逃さないことが重要です。お風呂あがりには全身に保湿クリームやローションを塗布してください。特に気になる部位はたっぷり重ね塗りがおすすめです。

⑤規則正しい生活を

アレルギー症状を起こすのは、身体の免疫力が左右します。日頃からの体調管理次第で、症状が緩和されるかもしれません。

そのためにも規則正しい生活を送り、喫煙や飲酒を控え、バランスのよい食事、ストレスをためず、身体を冷やさず、しっかり睡眠をとる・・など、無理をしない程度に体調管理をすることが大切です。

花粉症は日本人の約30%が発症しているというほど増えています。今や誰もが花粉症予防をせざるを得ない状況です。

一度罹ってしまうと完治することがほぼ難しく、一生付き合っていかなければならない病気です。

少しでも症状を和らげるために、日頃からの生活環境の見直し、ご自宅でできる鼻洗浄などのケアをしながら、病院にかかり適切な薬を処方してもらうようにしましょう。

 

2024年花粉症情報

まず、前年夏の天気を振り返ります。花粉症で悩まされるスギ花粉は、スギ雄花の着花量に左右されます。また、着花量は、天候によって大きく変動し、特に、夏の気温が高く、日照時間が長い場合、着花量は多くなるのです。
スギ雄花の着花時期は6月~7月。そのため、この夏の天気が翌年の花粉飛散の判断材料とされています。

2023年6~8月の夏の天気は、とにかく暑かった思い出しかないかもしれませんね。実は全国の平均気温は1898年の測定開始以来、観測史上最高の気温となりました。東京では64日間真夏日(最高気温30℃以上)が続いたほどです。

それでは、2023年の夏の天気を踏まえて、2024年の花粉の飛散量の予想を見ていきます。
環境省が発表した、2023年11月から12月にかけて行われた35都府県におけるスギ雄花の花芽の着花量調査によると、傾向としてはこれまで過去の10年平均と比べると、同程度~やや少なくなっているとのこと。花粉飛散量が多い年の翌年はスギ雄花の着花量が減少するという傾向が見られるようで、去年2023年の着花量が多かったのが伺えます。

スギ花粉

過去10年と比較して着花量の平均値が150%以上だったのが、岩手県、愛知県、島根県の3県であり、50%以下が山形県、茨城県、徳島県、高知県の4県でした。それでも、あくまでも去年との比較ですので、花粉の飛散量は多くの地域で例年並み~少し多いと予測されています。

※参照: 環境省 令和5年度スギ雄花花芽調査の結果について

もうすでにアレルギーを感じている人もいらっしゃるかもしれませんが、日本気象協会が発表した飛散傾向によると、2024年は2月上旬に九州・四国・中国・東海・関東甲信の一部で飛散しはじめると予想、スギ花粉シーズンは例年並みか例年より早いスタートとなりそうです。
飛散開始と発表される前から少しずつ花粉は飛散し始めます。花粉症の方はわずかな花粉でも敏感に体が反応するので、2月からではなく1月のうちに早め早めに対策を講じることをおすすめします。

 

よくある質問

花粉症の予防・対策は?

抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用(局所)ステロイド薬などの薬物療法。薬を使えない方は鼻粘膜の表面を炭酸ガスのレーザーで焼くレーザー療法(特に鼻づまりに有効)。アレルギー症状の原因となるアレルゲンを身体に投与し、自らアレルギーに慣らしていく免疫療法。
また、普段できる予防・対策として、

  • マスクや花粉対策の眼鏡をかける。
  • 服やカバンについた花粉を払い落とし屋内に持ち込まない。
  • 鼻や眼の洗浄を行い花粉をしっかり落とす。

花粉症の原因は?

遺伝の影響もあるとは言われておりますが環境の要因が一番大きいようです。花粉症はアレルギーの一種。
花粉(アレルギーの原因物質)が体内に入ると、原因物質をなくすための抗体が生成されます。原因物質である抗原が一定数を超えるとアレルギーを発症(花粉症)となります

 

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