おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)とはどんな症状?
赤ちゃんの肌は柔らかく、モチモチ・ツルツル・フワフワ。ママやパパにとって、触れるだけで幸せな気持ちになりますね。
そもそも赤ちゃんの皮膚は、薄くて非常に繊細です。成長するにつれて乾燥や摩擦、アレルゲンといった外部からの刺激から肌を守るバリア機能が発達するのですが、赤ちゃんにはそのバリア機能が未熟なだけに、何とも言えない柔肌なのです。
そして、赤ちゃんの柔肌の大敵とも言えるのが、おむつかぶれ(おむつ皮膚炎、非アレルギー性接触皮膚炎)です。
おむつかぶれは、おむつを付けている部位のおしり、肛門、外陰部だけではなく、下腹部や太ももの付け根などに赤みを帯びて、かゆみやかぶれの炎症が生じる状態のことを指します。
ひどくなるとジュクジュクしたかさぶたができ、ただれてしまいます。軽症であれば数日で元に戻るとはいえ、赤ちゃんにとっては不快。話すことができないので、泣いたりぐずったりしてしまいます。
また、お風呂やお尻を拭く時に痛がったりするのも、おむつかぶれのサインかもしれません。
おむつを替える際には、おしっこやうんちだけではなく、おむつと接触している肌の様子を観察することが大切です。
おむつかぶれの原因
おむつかぶれの原因は様々です。まずは、普段のおむつ替えや赤ちゃんの状況を見直してみましょう。
排泄物による刺激
おむつの役割は、おしっこやうんちといった排泄物を吸収することです。排泄の回数や量の参考を以下に載せますが、月齢によって変わりますし、個人差もあります。
生後3ヵ月までは1日当り15~20回くらいで、 6~12ヵ月くらいになると10~16回前後になります。1回の排泄量は、新生児で1回5~10ml程度、 3ヵ月くらいになると15~30ml程度になります。※
生後3か月までは1日で15~20回も排泄しているので、その回数分排泄物と接触していることになります。
いくら吸収力があるおむつでも、長時間おむつを替えないと、排泄物のアンモニアや細菌と触れることになります。バリア機能が発達していない赤ちゃんの肌にとっては、よくないですよね。
さらに、うんちが柔らかい下痢便になってしまうと、べちゃべちゃした不快感以外にも悪影響があります。
下痢便に含む消化酵素は、赤ちゃんの肌には刺激が強く、皮膚トラブルの原因になりかねません。
一方、おむつ交換でおしりを拭いて清潔にしますが、固まったうんちが肌に付着していたら、ゴシゴシ汚れを取り除かないようにしましょう。
やさしく拭いてあげるか、ぬるま湯でふやかしながら取り除くようにしてください。
おむつの中の蒸れ
赤ちゃんの体温は高い上、おむつは排泄物を吸収しているので、おむつの中は想像以上に高温多湿です。女性が生理中に使用するナプキンも蒸れやすいので、かゆみなどの炎症を起こしてしまった経験がある方は想像しやすいかもしれませんね。
立つことができないということは、寝ている時やお座りしている時も、全体重がおしりにかかってしまっているということなので、熱や蒸れがこもりやすいのです。
そのため、赤ちゃんにとってお尻まわりの蒸れは刺激を受けやすく、皮膚トラブルの原因になります。
お風呂の後やおむつ交換時におしりを拭いた後は、すぐおむつを履かせるのではなく、できるだけきちんと乾かしてから履かせましょう。
せっかく清潔にしたのに蒸れてしまっては、元も子もありません。
おむつが肌に合わない(サイズ、素材)
おむつの素材は布と紙、大きく2種類です。使い捨てや吸収力の面から、紙おむつを使う方が多いです。ただ、紙おむつの素材は吸収力や逆戻り防止、通気性(蒸れ軽減)に優れるよう開発されています。
決して皮膚に対して悪影響があるものは使用していませんが、やはり赤ちゃんによってはその素材が肌に合わない場合もあります。
また、おむつのサイズが合わないことも、おむつかぶれの原因になります。太ももやお腹周りの締め付けが強くなると、擦れが生じてしまうからです。
おむつのサイズやゴムの締め付けはメーカー各社で異なるので、赤ちゃんの成長に合わせたおむつ選びも大切ですね。
カンジダ皮膚炎(乳児寄生菌性紅斑(にゅうじきせいきんせいこうはん))
通常、おむつかぶれは数日で良くなる傾向がありますが、それでも一向によくならなかったり、赤くひどい状態が続いたりしたら、カンジダの可能性があります。この場合おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)ではなく、カンジダ皮膚炎に該当します。
おむつかぶれは、おむつと接触する部位が赤みを帯びて炎症を起こします。一方、カンジダ皮膚炎はおむつが直接当たっていなくても、蒸れやすい部位に発症します。
例えば、おしりや陰部だけではなく、脇の下や背中のような汗をかきやすく蒸れやすい部位にまで及びます。
そもそもカンジダは、カビである真菌による感染によって発症します。真菌自体は常在菌で、どこにでも存在します。
ただし抵抗力が低下していたり、赤ちゃんのように免疫力がなかったりする皮膚では、感染する可能性があります。
さらに、高温多湿の環境は真菌にとって都合が良いので、蒸れがあるとカンジダ皮膚炎になりやすくなります。いくらおむつかぶれのケアをしても一向に良くならない場合は、カンジダ皮膚炎の疑いがあるので、医療機関へ相談しましょう。
その他
個人差がありますが、おしり拭きや体の洗浄剤、ベビークリーム、ベビーローションなどのスキンケア成分が肌に合わないことや、食物アレルギーによっておむつかぶれが発症する場合もあります。
赤ちゃんの肌の触れるものはできるだけ低刺激で無添加の成分を選び、必ずパッチテストをしましょう。
<パッチテストの方法>
- 1. 清潔な状態で、肌の薄い部分に少量塗る(薄い部分:腕の内側、太ももなど)
- 2. 24時間後に状態をチェックする。何もなければ入浴後に再度同じ場所に塗る
- 3. さらに24時間後(最初に塗った時から2日目)何もなければ問題なし
なお、食物アレルギーの疑いがある場合は、医師へ相談してください。
おむつかぶれの予防
おむつかぶれを防ぐには、お尻周りを清潔に保つことが重要です。そのためにも、おむつ替えは頻繁に行いましょう。大人が排泄後にトイレットペーパーで拭くのと同様に、おむつ替えの時はおしりをきれいに拭くことが大切です。
最近の施設では、赤ちゃんのために授乳室やおむつ台を設置したトイレが増えていますが、まだまだ少ないのが現状。そのため、外出時にお湯を使って汚れを落とすことは難しいです。
対策として、携帯できるハンディシャワーが市販されているので、お出かけの際にはおすすめです。
拭いた後はしっかりおしりを乾かしてからおむつを替えると前述しましたが、ベビーパウダーを使用する場合は注意が必要です。ベビーパウダーは、あせも予防や股ずれに効果的と言われおり、古くから愛用されています。
ベビーパウダーを使用するのは、少量が望ましいです。真っ白になるほど大量にパウダーを付けてしまうと水分を吸ってしまい、サラサラしているお粉がおむつの中で固まってしまいます。
すると皮膚への刺激となり、さらにおむつかぶれが悪化しかねません。おむつかぶれには、できるだけベビーパウダーを控えてください。
ちなみに、ベビーパウダーは地域によっては天花粉(てんかふん)や、古くからある商品名の「シッカロール」と呼ぶことも。天花粉の「天花」はその名のとおり、天からサラサラとした雪が降る様が語源だそうです。
ベビーパウダーの代用としては、少しベタベタしますがワセリンがあります。水分をはじく撥水効果があるので、おしっこやうんちが皮膚へ接触しないよう保護するため、有用です。
それでもおむつかぶれが続くようであれば、カンジダ皮膚炎といった他の炎症も考えられます。医師の診察のもと、適切な塗り薬を処方してもらいましょう。
赤ちゃんのためのおすすめケアアイテム
赤ちゃんのためのケアアイテムは、数多く販売されています。前述のとおり、赤ちゃんの身体のためにできるだけ低刺激でお肌にやさしい製品を選び、使いすぎないよう適量を使用しましょう。
製品のパッケージの使用方法をご覧の上、またアレルギーの心配がある場合には医師の相談の上、ご使用ください。
スミス・アンド・ネフューのセキューラPOは撥水性ジェルで、皮膚に浸透することで被膜ができて皮膚を守っています。おむつかぶれの予防として、生後2~4週間を過ぎた乳幼児から大人まで使用できます。(あくまでも予防としてなので、すでにかぶれてしまった状態では使用できません)
おしりを拭き取る時には、薬液不使用の清拭コットンがおすすめ、日本アトピー協会推薦品なので、安心して赤ちゃんにもお使いいただけます。個包装に入っているので携帯に便利ですね。
おむつかぶれは、適切なケアをすれば炎症が治まると言われています。痛みを感じたり、不快な思いをしたりするのは赤ちゃんです。
おむつかぶれで夜泣きをされては、ママやパパの育児疲れの原因にも。いつまでも元気に笑顔絶えず成長して欲しいという思いと共に、おむつかぶれを少しでも軽減できるようにしっかりケアしていきましょう。
よくある質問
おむつかぶれの原因は?
おむつかぶれの原因は様々。
- 排泄物による刺激
- おむつの中の蒸れ
- おむつのサイズ、素材が合わない
- カンジダ皮膚炎
- その他(おしりふきや洗浄剤、ベビークリーム、ローションなどの成分が肌に合わない場合。また、食べ物アレルギーによる発症もあり)
おむつかぶれの予防は?
お尻周りを清潔に保ちましょう。
- おむつ替えは頻繁に。
- おむつ替えの時はお尻をキレイに拭く。
- 拭いた後はしっかり乾かしてからおむつを替える。