長かった妊娠、そして出産。言うまでもなく出産はゴールではなくこれからずっと、大切な赤ちゃんを育てていかなくてはなりません。 最近では男性の育休取得を推進できるように「育児・介護休業法」の法改正が2022年に行われ、男性の育児参加も浸透しはじめそうです。 それでも母親しかできないことのひとつが「授乳」です。こればかりは母乳が出ない男性には無理な話。だからといって、母親任せにはしないでサポートやお手伝いはきちんと行える意識づけは必要ですね。 生まれたばかりの赤ちゃんは、栄養を十分にとって休息させることが第一優先。 栄養は母親の母乳から摂取しますが、赤ちゃんによっては、吸い付く力が弱かったり、抱っこや授乳のポジションによって、口におっぱいをくわえることができなかったりと、授乳トラブルの原因になってしまうのです。 赤ちゃんがおっぱいを吸おうとする動きと母親が乳首を吸わせようとする動きが合致することを「ラッチオン」といいます。 このラッチオンがうまくコントロールできるようになると授乳時のトラブル回避につながります。では、授乳時のトラブルとはどんなものが挙げられるでしょうか? 母乳が出る乳頭の皮膚には多くの神経終末があり非常にデリケートです。 毎日の授乳でうまくラッチオンできなかったら、吸い方が悪くなり乳頭の先にしかくわえることができず、乳首に痛みを生じます。 また、乳頭を強く引っ張られることがあり、乳頭が乾燥しやすくなるだけでなく、ダメージがかかります。例えば乾燥しすぎて服や下着に触れるだけで痛みを生じたり、乳頭亀裂による出血が生じてしまったりすることも。 授乳は赤ちゃんとのコミュニケーションの場ともいわれています。痛い思いをして苦痛な表情をしながら授乳をすると、赤ちゃんとのコミュニケーションがうまくいきません。 出産前に産婦人科の先生や助産師さんからアドバイスを受けていると思います。この記事では、乳頭を守るために、授乳トラブルを少しでも軽減できる簡単なケアについてご紹介します。赤ちゃんの授乳時のトラブル
その名のとおり、乳頭を「保護、守ること」をさします。露出こそないものの授乳や入浴以外では、ほぼ衣服で覆われている乳房ですが、乳頭を保護したほうがよい場合は以下の通りです。乳頭保護とは?
このように乳頭は授乳をしていると、何かしらのダメージを受けやすい状態です。少しでも乾燥や痛みを生じさせないように、乳頭を保護するための製品など利用してデリケートな乳頭を守るようにしましょう。
乳頭は乾燥しやすいため、そのまま放っておくと衣類にこすれただけで痛みを伴ったり、ひどくなると亀裂が入り出血をしたりする場合があるとお伝えしました。 しかし、出血だけではなく細菌がその亀裂から入り込んでしまうと「化膿性乳腺炎」を引き起こすリスクがあります。 化膿性乳腺炎とは、細菌が感染するとその乳頭の部分が化膿してしまい、乳房が赤く腫れ、高熱や筋肉痛の症状がある病気です。 抗生物質や解熱剤を処方されると、赤ちゃんへの授乳ができなくなる可能性も。専門の乳腺外来もあるので、痛みや違和感があれば、医師や助産師へ相談されることをおすすめします。乳頭の痛み、放っておくと・・
一般的な乳頭保護は下記のような方法が取り上げられています。 乳頭マッサージは、母乳の出をよくし、赤ちゃんが吸い付きやすくするなど、スムーズに授乳できるように妊娠中期から病院で指導することが多いようです。 乳頭マッサージは紙面・動画・ウェブに公開されている方法もあります。ネットなどで調べたマッサージのタイミングや方法を実践するのではなく、医師や助産師に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。 乳頭の位置や大きさ、妊娠の経過によって個人差があるので、ご自身に合ったマッサージ法を指導してもらい、自分に合った方法を実践することをおすすめします。 母乳パッドは授乳以外でも母乳が出てしまい、衣類や下着に滲み出てしまうのを防止するためのパッドです。 母乳が出たままだと不衛生な状態が続き、赤ちゃんにも良くありません。赤ちゃんの口に触れるものはきれいな状態にしたいものです。 乳頭を清潔に保つために、母乳が出てしまう場合は授乳用ブラジャーに挟んで、母乳を吸収することができる母乳パッドを用います。 母乳パッドは使い捨てタイプと繰り返し使う布製があります。こまめに取り換えて衛生に保つには使い捨てがおすすめですが、パッドの素材によっては授乳により敏感になった乳頭では、かえってかぶれやすくなる場合があります。 布製を選ぶならなるべく肌に負担の少ない、オーガニック素材のものを選んでください。 乳頭保護器(ニップルシールド)もよく使用されており、種類も豊富です。透明のシリコンで哺乳瓶の口のような形状のものが一般的で、授乳の際に乳頭にかぶせて赤ちゃんに吸わせます。 乳頭に密着するので赤ちゃんも違和感なく飲むことができます。また扁平乳頭または陥没乳頭で赤ちゃんの吸い付きがよくない方にもおすすめです。 ただし、乳頭保護器は赤ちゃんの口に触れるものなので、使い終わったらすぐに洗って消毒、清潔に保つことが必要です。 乳頭保護クリームは、乳頭の乾燥を防ぎ保湿効果を高めます。「潤いがないな」と感じたら手軽に塗ることができるクリームはおすすめです。 乳頭(乳首)に塗る保湿クリームにワセリンを使用していることがありますが、ワセリンは口に入れてはいけないものなので、授乳中の乳頭保護クリームとしては使用してはいけません。 赤ちゃんの口に触れるものなので添加剤や保存剤が入っていないものを選びましょう。 さらに味や臭いに違和感があると赤ちゃんは母乳を飲んでくれません。乳頭保護クリームを選ぶ時は口に入れても大丈夫かどうかの注意が必要です。 ただでさえ忙しく赤ちゃんから目が離せないこともあり、授乳の前に都度拭き取るのが面倒と感じたら、拭き取らなくても良いかどうかもクリーム選びのポイントのひとつです。 さらに、乳頭保護クリームには、乳頭だけではなく赤ちゃんのおむつかぶれにもお使いいただける商品もあるため1本あると有用です。乳頭保護のケア方法
一般的に、乳頭保護はいつまで続けなればならないという縛りはありません。やめるタイミングは正しいラッチオンになったとき、赤ちゃんの吸い付きによって乳頭が伸びたとき、赤ちゃんの乳頭全体への吸い付きがよくなったとき、亀裂が無くなったとき・・・と様々。 一方で、乳頭保護器(ニップルシールド)をいつ外せばよいか悩むお母さんたちは多いようです。いつ外すか迷った場合は、ニップルシールドを外した状態で直接授乳してみて、様子をみると良いでしょう。 直接授乳ができるようになったらシールドは卒業です。とはいえ、「あの時の痛みが怖くてニップルシールドがないと授乳できない」というお母さんいらっしゃるようですが、赤ちゃん自身も上手に吸えるようになっている場合があります。 ニップルシールドはお母さんのよいタイミングで外すようにしてください。 心配ごとは赤ちゃんの不安をあおってしまうかもしれません。周りと同じ足並みにする必要はないので、ご自身と赤ちゃんのペースを第一にしてください。それでも心配な場合は医師や助産師さんに相談してみましょう。 一方シールドを卒業しても、授乳は毎日続きます。赤ちゃんの吸い方に関わらず、乳頭保護クリームでしっかり保湿ケアをすることをおすすめします。乳頭保護はいつまで?
乳頭を守ることです。乳頭はデリケートですので、特に授乳期は授乳をしていると乾燥や下着の擦れで痛みや乳頭への亀裂で出血する場合がございます。 乳頭マッサージが一般的ですが、乳頭保護グッズもご活用ください。よくある質問
乳頭保護とは?
乳頭の亀裂を放っておくと細菌感染などの恐れがあります。乳頭を保護するには?
授乳の際に乳頭にかぶせて赤ちゃんに吸わせる乳頭保護器(ニップルシールド)や乳頭の保湿を高める乳頭保護クリームなどがございます。