パルスオキシメーターとは

パルスオキシメーターとは?その正しい使い方と選び方

目次

パルスオキシメーターとは

新型コロナウィルス感染症の感染拡大と重症者数増加に伴い、着目されたのが「パルスオキシメーター」。

パルスオキシメーターは、体内に酸素が取り込まれているかを測定する医療機器です。

新型コロナウィルス感染症の重症化の目安として、このパルスオキシメーターの測定値が使用されています。これまでもパルスオキシメーターは、医療の現場では入院患者、出産時の妊婦、手術前~中~後の容態を確認するために用いられてきました。

テレビドラマで、患者が指先にクリップのようなものをはめているシーンに見覚えがありませんか?それだけパルスオキシメーターは、医療現場では日常的に使用されています。

患者の容体を確認するために、なくてはならない機器のひとつなのです。

①パルスオキシメーターの仕組み

体内に酸素が取り込まれているかを測定するための指標になるのが「血中酸素飽和度」です。

血中酸素飽和度は、肺から取り込まれた酸素が、血液が流れる動脈で、どれくらいヘモグロビンと結合したかの割合を表します。血液には酸素が必要不可欠で、体内に取り込まれた酸素は、鉄を含んだヘモグロビンと結合し、体中に行き渡ります。

血液が赤いのは、赤血球に含まれるヘモグロビンの色素によるものです。ヘモグロビンは、酸素と結合すると鮮やかな赤色になりますが、結合していないと薄暗い色になります。

脈拍数と血中酸素飽和度は、血液に光をあてて光の吸収度から算出します。正常であれば96~99%の値を示しますが、それ以下の数値が出た場合は、医師の診断が必要です。

②SpO2とSaO2

血中酸素飽和度には「SpO2」と「SaO2」があります。

SpO2は「Percutaneous(経皮的) Oxygen(酸素) Saturation(飽和)」の意味で、パルスオキシメーターのように機器を指に挟むことで測定される体内の酸素量「経皮的動脈血酸素飽和度」を示します。

一方、SaO2は「Arterial(動脈) Oxygen(酸素) Saturation(飽和)」の意味で、血液を採取することで測定される体内の酸素量「動脈血酸素飽和度」を示します。

SpO2は皮膚を通して計測でき、採血が不要なのが最大のメリットです。現在は前者のSpO2で、体内の酸素量を測定することが主流のようです。

医療現場で「サチュレーション、〇〇%です」と読み上げたり、記録したりする時は、この血中酸素飽和度のことを示しています。

③発明

今や世界中の医療現場で欠かすことができないパルスオキシメーターですが、この測定の原理を発明したのは日本人であることをご存知ですか?

1974年日本光電株式会社の青柳卓雄氏らにより、パルスオキシメーターの特許「光学式血液測定装置」が出願されました。

その後、1977年ミノルタカメラ(現在はコニカミノルタ株式会社)が世界初の指で測定するパルスオキシメーターを発売しました。

現在多く広がっているのは指先にクリップをはめる測定一体型ですが、スマートウォッチタイプや、Bluetoothでスマホのアプリに連動して記録ができるタイプ、血圧と併せて測定できるタイプなど、様々なパルスオキシメーターが開発されています。

④新型コロナウィルス感染症とパルスオキシメーター

ここで重要なのが、パルスオキシメーターは新型コロナウィルス感染症の陽性かどうかを判定する製品ではありません。

間違った情報が先走った結果、買占めによって本当に必要としている人に行き渡らないことがないように正しい情報を理解することが大切です。

パルスオキシメーターは感染症の陽性か陰性かを判定製品ではなく、ありとあらゆる病気や病状の重症化を判断するための製品のひとつとして理解しましょう。

新型コロナウィルス感染症において、厚労省では感染した患者の評価として下記のように掲げています。

血中酸素飽和度 症状
96%以上 軽症
93超~96%未満 中等症Ⅰ(呼吸不全なし)
93%以下 中等症Ⅱ(呼吸不全あり)

パルスオキシメーターの使い方

①誰が使うのか

パルスオキシメーターはこれまで入院患者、出産時の妊婦、手術前~中~後、喘息等呼吸器疾患の患者、在宅医療の患者等、特に酸素治療を行っている患者に使用されてきました。

いずれも医師や看護師、介護士が患者の状態を確認するために用いています。睡眠時無呼吸症候群という病気をご存知ですか?

睡眠中に呼吸が一時的に止まり、酸素が不足して一旦目が覚め、また睡眠中に呼吸が止まり・・・を繰り返す病気です。

無呼吸では血液中の酸素が不足します。血液が体中を循環しないため、血管や心臓の負担が過多になり、深刻な病気に繋がることもあるので、いびきが多い人は注意が必要です。

いびき外来の病院やクリニックでは、パルスオキシメーターを使って、睡眠時無呼吸症候群を簡易的に検査することもあります。

この他、登山時の高山病予防やマラソン、スキューバダイビング、スポーツクラブ等トレッドミルのように心拍数が上昇しやすいスポーツをされる方も、自己管理のためにパルスオキシメーターを使っています。

②パルスオキシメーターの選び方

様々なタイプのパルスオキシメーターがあるように、価格も数千円のものから10万円以上のものまで様々です。選び方のポイントは何でしょうか?

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質と有効性及び安全性を明確にするため(=消費者を守る)に、製造販売、流通等を細かく定めた「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」という法律があります。薬機法の中でパルスオキシメーターは、「クラス分類Ⅱ管理医療機器」に分類されます。

医療目的の際にお使いになるのであれば、管理医療機器として厚労省に認められた製品を選ぶことをおすすめします。

一時パルスオキシメーターの入手が困難になった際、認可がない製品が多く出回ったこともありましたが、数値のブレや違いにより、命の危険を見過ごすこともあります。

必ず管理医療機器として認められた製品で、かつ高度管理医療機器販売業の認可があるショップ(実店舗や通販サイト含む)で購入するようにしましょう。

日本製 パルスオキシメーター
日本精密測器
パルスフィット BO-650
日本製 パルスオキシメーター 日本精密測器 パルスフィット BO-650

一方、マラソンやサーフィン等のスポーツをされる、普段から健康な方が趣味の延長として、コンディションの確認等でお使いになる場合は、機能が搭載されたスマートウォッチで代用されてもよいでしょう。

③さまざまな機能

機能①ディスプレイ

誰でもわかりやすいように、ディスプレイは大きい方が良いでしょう。最近はLEDや有機ELディスプレイの製品が多くなりました。文字がはっきり読み取れます。

機能②PI値の表示があるもの

PI値(PI:Perfusion Index = 灌流(かんりゅう)指数 単位%)は、良い測定状態かどうかを判断する指数です。

測定する手指が冷たいとPI値が低くなり、パルスオキシメーターの酸素飽和濃度の値に影響します。PI値が低い場合は、手指を温めてから測定しましょう。

機能③マルチアングル

ディスプレイの表示向きが変えられると便利です。ご自身で数値を見るのと、看護師が見るのでは向きが逆になります。(98%の数字を逆から読むと89%となってしまいます)

どの方向からも正しい数値が読み取れるように、マルチアングルタイプが便利です。

機能④付属品を確認

メーカーによっては、専用ポーチやストラップ付のものがあります。

おひとりで使用するならベッドや決まった場所に置くと良いですが、家族で使用したり、登山などで持ち運んだりすることがあれば、ポーチやストラップがあると無くさないでしょう。

機能⑤自動電源オフの有無

指を入れるだけで測定が開始され、測定後は電源が自動オフになるので、電池の消耗を抑えることができます。

機能⑥保証を確認

通常、メーカーの保証が付いているものがほとんどですが、事前に保証の対象や保証期間をご確認ください。

パルスオキシメーターは医療機器です。一度通電したもの(電源をつけたもの)は返品ができないため、使用方法が掲載されている取扱説明書や保証書はなくさないように保管しましょう。

➃使用上の注意

購入時、パッケージには取扱説明書と添付文書が入っています。こちらに使用上の注意が掲載されていますので、必ずご一読ください。

基本的にパルスオキシメーターは、機械の内部から指に光をあてて血液の濃度を測定します。光が直接当たるところでは数値に影響するので、測定しないようにしましょう。

マニキュアやジェルネイルなど爪に装飾があると、測定できません。必ずリムーバーで落としてから測定してください。

また、測定する指に汚れ、キズ等がないかも確認してください。血流が悪い状態では正しい数値が測定できないので、指先が冷たい場合は温かくしてから測定してください。

測定している間はブレないように、腋下の体温計と同じように、じっと静かに姿勢を保ってください。

なお、指が細い人や指が小さなお子様は、血液の濃度を読み取ることができない場合があります。購入前に対応年齢や、指周りの測定可能である適応サイズを確認しましょう。

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フィンガーティップパルスオキシメータ FP235BC
フィンガーティップパルスオキシメータ FP235BC

普段は病院内で看護士や医師が使用するパルスオキシメーターです。一般のご家庭で使用するケースがほとんどなかったため「うまく測定ができない」という問い合わせがメーカーにも寄せられているようです。

うまく測定できない場合、まずは説明書に記載のとおり使用しているかどうか、確認するようにしましょう。

新型コロナウィルス感染症の影響で、これまで医療機関や在宅治療での利用が多かったパルスオキシメーターですが、重症化のサインを把握する目的で使えることから、一般の方にも多く知れ渡るようになりました。

日々の健康管理として一家に一台常備しておくのもよいでしょう。ただし医療目的での使用の際は、管理医療機器として認証されている製品を、同じく認可を受けたお店でお求めください。

よくある質問

パルスオキシメーターとは?

動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定する機器で、指にはめて測定を行います。
主には病院や介護施設、在宅医療などで利用されております。血中酸素飽和度の値により体内に酸素がどれだけ行き届いているか判別します。

パルスオキシメーターでコロナ陽性は判別できる?

コロナウィルスの陽性、陰性は判別できません。肺炎や気管支喘息等の呼吸器疾患の重症化を判別するために用いられてきました。
コロナウィルスに感染した場合、呼吸器疾患の重症化を判別するためには有効です。

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