ドライマウス

ドライマウスの原因と症状、治し方

目次
追記更新

ドライマウスとは

ドライマウス(口腔乾燥症)とは、唾液の分泌量が減り、口の中が乾いた状態のことをいいます。最近は症状を訴える人が多く、現代病のひとつです。「なんとなく乾いている」「たまたま」「気が付いたら治るだろう」と放っておくと、口臭だけではなく歯や口腔内全体に影響を及ぼすので、思い当たる症状があれば、注意が必要です。

ドライマウスの症状

ドライマウスの症状

口が乾く

ドライマウスはその名のとおり、ドライ=乾燥、口が乾燥している状態です。私たちは1日に唾液を 1リットル~1.5リットル分泌しますが、ドライマウスになると唾液の量はその半分まで減ります。口の中が乾くと、常に喉が渇いた状態となり、舌が乾き、しわしわの状態になってしまいます。口が乾くと、話すことが難しくなったり、乾燥した食べ物を口に入れると、くっつきやすいので食べにくくなります。また喉の痛みも感じることもあります。
特に高齢になると、唾液の分泌が減るので、ドライマウスにかかりやすいと言われています。高齢者自身、なかなかドライマウスの症状が自覚できないこともあるので、介護のシーンでは口腔ケアが非常に重視されています。

唾液が減る

先に述べたように、 1日あたり唾液を1リットル~1.5リットル分泌しています。500mlのペットボトル2~3本と想像すると、非常に多いですよね。寝ている時によだれが出たり、歯科医院で治療中に唾液を吸引されたことを思うと、口ではかなりの量の唾液が分泌されていることがわかります。それだけの量を分泌する唾液は私たちの身体にどのように働いているのでしょうか?

     
  • ●抗菌:口の中に入った細菌やウィルスなどの病原微生物から守る
  •  
  • ●洗浄:食べかすや口の中についた汚れを洗い流す
  •  
  • ●緩衝:食後の口内は酸性になるので、唾液が中性に保ち細菌の増殖を抑制
  •  
  • ●消化:唾液に含まれる酵素ででんぷんを糖に分解し消化しやすくする
  •  
  • ●保護:口腔内の粘膜を保護したり、歯に皮膜を作るので虫歯予防に

このように唾液は口内で様々な役割を担っています。そのため「ドライマウスになる=唾液が減っている」状態は、これらの働きに影響が出て口内トラブルに繋がっていきます。

口臭

唾液の量が減り、ドライマウスになると口臭がにおうようになります。唾液の働きで「抗菌」「洗浄」がありますが、口内に雑菌が増え、また食べかすが洗い流せなくなると、雑菌がその食べかすに含むたんぱく質を消費(分解や発酵)するので、その副産物が口臭の原因になります。玉ねぎの腐敗臭に似たメチルメルカプタン、卵の腐敗臭いに似た硫化水素などのガスを口から発生すると、会話する相手にとっても不快ですし、マスクをしていると吐く息がこもり、自分の口臭に驚くこともしばしばあります。周囲の家族や友人、同僚から注意を施すのが難しいデリケートな内容だけに、自分でドライマウスの症状に思い当たるとしたら、まず口臭のセルフチェックをおすすめします。

口臭に驚く男性
     
  • 唾液を確認:指で舌の上や歯や歯茎の間を触って、触れた指の匂いをかいでみる。
  •  
  • 息を確認:きれいな無臭のカップやビニール袋に自分の息をふきかける。口を閉じてしばらくしてから匂いをかいでみる。
  •  
  • 口臭チェッカー:市販の口臭チェッカーで調べる。

口内炎

口内炎は唇や舌、歯茎など口の中の粘膜が炎症し、水ぶくれができたり、白斑やただれ、腫れなどの症状が出て、痛みを伴います。会話や食事中に、うっかりその炎症部分を噛んでしまい、激痛が走ることも。激辛のような刺激が強い食べものを口にするだけでしみて痛くなる場合もあります。また歯磨き中に炎症部分がブラシにあたると痛むこともあります。唾液の量が減りドライマウスになると、口内での雑菌が増えたり、また粘膜を保護する機能が低下するので、口内炎ができやすくなります。口内炎は自然に治ることが多いので、あまり深刻にならないことがほとんどですが、2週間以上過ぎても、治る様子がなければ、速やかに歯科、口腔外科へ受診するようにしましょう。

味覚障害

舌の表面に白くブツブツとした味を感じる味蕾(みらい)があります。味蕾の数は乳児で約10,000個、大人が約7,000個、高齢になると約3,000個まで減るようです。食べ物を口にすると、その味を味蕾が取り込み、脳へ送られます。脳で「おいしい」「おいしくない」「甘い」「辛い」「酸っぱい」「苦い」等、味覚を判断します。ドライマウスで唾液の量が減ると、食べ物を消化する機能が低下し、味蕾が味の取り込みができにくくなり、味覚障害の原因になるのです。また舌にも影響を及ぼすことがあります。舌の表面が炎症する舌炎(ぜつえん)は痛みを伴い味の見分けができにくくなり味覚障害を引き起こします。

ドライマウスの原因

ドライマウスの原因は唾液の分泌量の減少ですが、なぜ唾液が減るのでしょうか?よく挙げられる原因は下記です。

     
  • ストレス
  •  
  • たばこやアルコール
  •  
  • 咀嚼力の低下
  •  
  • 口呼吸
  •  
  • ダイエット
  •  
  • 薬の副作用
  •  
  • 加齢

ストレス

唾液を出す唾液腺は自律神経によってコントロールされているので、最近はストレスによる原因が多いようです。ストレス過多でドライマウスになると、口腔環境が悪化し、口臭が気になる場合もあれば、おいしいものも感じることができず、余計にストレス過多になってしまうと、悪循環ですね。
できるだけストレスフリーの生活を過ごせるように生活習慣を見直しましょう。

ストレスで落ち込む男性

口呼吸

「吸って、吐いて」・・・。一般に呼吸は鼻で吸い、口から吐きます。鼻づまりにより口から息を吸うこともできますが、直接空気が口の中に入るので、乾燥しやすくドライマウスの原因に繋がります。それだけではなく、口呼吸は口から空気中に存在するウィルスや雑菌、埃などが直接体の中へ入って、風邪などの疾患を起こしたり、いびきの原因のひとつでもあるので、できるだけ鼻呼吸へ改善することが望ましいです。

更年期に関係する?

更年期で不調な女性

ドライマウスは女性、特に4~50代の更年期を迎える女性が多いと言われています。女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下し、唾液の分泌にも影響を及ぼします。そのため口が乾きやすくなり、ドライマウスの症状が現れます。

受診するとしたら何科?

ドライマウスは一般内科か歯科や口腔外科を受診するのが一般的です。もしストレスを感じることが多いようであれば、心療内科に受診を。もし他の疾患で医師から内服薬を処方されている場合は、副作用の可能性があるので、処方した主治医へ相談しましょう。

ドライマウスの治し方

ドライマウスはどのように予防すればよいでしょうか?ストレスフリーを目指し生活習慣の見直すことは重要ですが、その他にもいくつか予防方法があります。

口内環境を整える

まず口が乾かないように水分をしっかりとること。(水分はアルコールではなく水です)そして、口内環境を整えましょう。口内環境を整えるのは、虫歯の治療だけではなく、咀嚼しやすくするために歯の組み合わせを見直しましょう。ガムを噛んで唾液の分泌を促すことも効果的です。

ガム

その他、デンタルリンスや舌の汚れをかきとる舌ブラシのケアもおすすめです。

 
   
ピエラ プロポリンス プレミアム フリー
    ピエラ プロポリンス プレミアム フリー      
 
   
川本産業 マウスピュア フレッシュメイトK 舌ブラシ
    川本産業 マウスピュア フレッシュメイトK 舌ブラシ      

口呼吸を予防

起きている時は、意識的に鼻呼吸に改善できても、就寝時は無意識に口呼吸をしていることがあれば、口閉じテープで鼻呼吸に促すようにしましょう。唇にテープを貼ると違和感があるかもしれませんが、最近は蒸れにくくはがれにくいテープがあるので、一度試してみるのも良いでしょう。

 
   
ニトムズ 優肌 口とじテープ
    ニトムズ 優肌 口とじテープ      

マッサージ

唾液の分泌を促すように唾液腺を刺激するマッサージも効果的です。①~③を5回から10程度、痛みがないようにやさしく押します。

唾液腺の場所
マッサージ
     
  • ① 耳たぶのやや前にある耳下腺(じかせん)をひとさし指から小指まで当てて、奥歯があるところを後ろからゆっくり回します。
  •  
  • ② あご先の舌下腺(ぜっかせん)は親指を顎の下に当てて、舌を巻き上げるようにゆっくり押します。
  •  
  • ③ あごの骨にある柔らかい部分が顎下腺(がっかせん)です。顎の内側を当てて、上に向かって押します。

ドライマウスの罹患している患者数は日本国内で800~3000万人と推定されています。ただし、病気としての意識が低く、「なんとなく治った(気がする)」と思われやすい傾向です。ほおっておくと、口の乾きだけではなく、虫歯や口内環境に影響が出てしまいます。「口が乾きやすい」と感じたら、生活習慣を見直し、それでも改善されないようであれば、医師に相談してみましょう

※引用:国立研究開発法人科学技術振興機構 ドライマウス(口腔乾燥症) – J-Stage

食事を見直す

口の中を潤いを保つため、唾液が分泌しやすい食事を摂る事も大切です。よく梅干しを見たり想像しただけで唾液が出る「条件反射」を耳にします。梅干はクエン酸が豊富で骨を作るカルシウムの吸収に役立つ成分です。塩分が高いので摂りすぎは禁物ですが、1日1個梅干を食べて唾液を積極的に出すようにしましょう。他にも、酸味のある食品、柑橘類だけではなく、咀嚼=よく噛むことは口の筋肉を鍛えるだけではなく、唾液を出す役割も果たします。例えばスルメやドライナッツなど、よく噛めば噛むほど味わいが深まる食品もおすすです。

一方、唾液を促進する成分が含まれる食材として、昆布や納豆が挙げられます。昆布のねばり成分であるアルギン酸、納豆のネバネバの正体であるポリグルタミン酸は、それぞれ唾液分泌の促進として作用しています。

食生活見直し

よくある質問

唾液が大切なのはなぜですか?

唾液は口の中で「抗菌」「洗浄」「緩衝」「消化」「保護」の役割を担っています。唾液が少なくなると、これらの作用が減り、口腔内のトラブルの原因につながってしまいます。

ドライマウスとストレスは関係あるのですか?

唾液を出す唾液腺は自律神経にコントロールされています。そのためストレスや自律神経が不調になるとドライマウスにかかりやすいと言われています。

フォーム

このページのURLをコピー

一般の最新コラム
一般のコラム一覧