【高機能絆創膏】モイストヒーリングで傷口ケア

目次

絆創膏(ばんそうこう)の種類

一般のご家庭で、傷口の手当で身近なものといえば「絆創膏(ばんそうこう)」が挙げられます。

小さな頃や部活で毎日のように体のどこかに貼っていた方もいらっしゃいますよね。傷口だけではなく靴ずれや虫刺されなど、様々な用途で使われるので、多くのご家庭では絆創膏を常備されているのではないでしょうか。

常備していなくてもコンビニエンスストアで販売されているので、24時間365日いつでも買いに行ける救急用品といえるでしょう。

防水、肌の弱い人向けに優しい素材を使ったもの、はがれにくい粘着力が強いもの、指先のアカギレ専用など、サイズだけでなく絆創膏の種類は多種多様です。

お子様向けに、キャラクターがプリントされた絆創膏も人気で、ケガをして泣いても「キャラクターと一緒だったら我慢できる!」とほっこりするエピソードも。また数年前は海外旅行のお土産としてキャラクターの絆創膏が重宝されていたことも、今となっては懐かしく思います。

子どもの足に貼られた絆創膏

ところで、地方によって絆創膏の呼び方が異なるのをご存知でしょうか?これは商品名を由来にしたものが、各地で根付いたようです。

例えば、「バンドエイド」はジョンソン・エンド・ジョンソンの商標で全国的に認知されています。同様に「カットバン」「サビオ」「リバテープ」も古くからある絆創膏の商品名で、その会社や工場がある都道府県~近隣地域ではそのように呼ぶことも少なくありません。

ただし富山県で呼ばれている「キズバン」ですが、商品名が由来ではなく、はっきりした理由はないそうです。

「キズ+”バン”ソウコウ」を略している説が有力です。地方によってこんなに呼び方が違うと面白いですね。

一方、英語で絆創膏は直訳すると”bandage”や”plaster”ですが、アメリカでは日本と同じくバンドエイド ” band-aid”でも通じるようです。

絆創膏の呼び方マップ

引用:阿蘇製薬株式会社 引用ばんそうこうの 呼び方マップ

少し脱線しますが、数年前、海外で有色人種向けにその人種に合わせた色の絆創膏が発売されました。

実際にアメリカの黒人男性が、その絆創膏を使用したときに「こんなに自分の肌に馴染むとは」と驚きと感動があったそうです。

世界的に絆創膏の色は、白かベージュ(ペールオレンジ、うすだいだい)がほとんど。しかし、人種によって思う「肌色」は一色ではありません。

SDGsの観点から多様性を考える上でも、こういった取り組みは素晴らしいことであり、日常的に当たり前だったことに、実は苦痛を強いられていた人々がいるという気づきにもなったといえますね。

冒頭でお伝えしたように、絆創膏には色々な種類があります。もちろん傷の大きさに合わせてサイズも豊富ですが、素材、防水性、用途によって多くの種類があり、店頭(特に薬局やドラッグストア)でどれにしようか悩むかもしれません。

そこで、用途に合わせた絆創膏をご紹介します。

まず家庭用では代表的なものとして3つに分けられます。

救急絆創膏

粘着シートの中央に傷を保護する不織布のパッドが付いたもの、昔からある絆創膏です。

高機能絆創膏

治療を伴う「高機能絆創膏」は管理医療機器として扱われており、傷を早くきれいに治す傷ケアアイテムとして、この数年非常に注目されています。

液体絆創膏

接着剤の役割をする成分が入っており、傷口や患部に塗布し乾燥することで、傷口を守ります。

防水性もあり粘着シートで貼る絆創膏よりも剥がれの心配がありません。手指のアカギレやさかむけ(ささくれ)に使うことが多いようです。

一方、医療用は疾病や皮膚の状態によって、さらに多くの絆創膏があり、一部ではドレッシング材とも呼ばれています。

一方、注射用絆創膏(穿刺保護絆創膏(せんしほごばんそうこう)、インジェクションパッド)は、多くの方が使用したことがあるかもしれません。

止血できるように保護パッドが付いたもので、刺針跡(ししんあと)に貼ります。一般の方が購入する機会は、ほぼないと思いますが、健康診断の血液検査やワクチン接種時に注射針を抜く時に、チラッとご覧になってください。

注射を打たれる男性

本コラムでは、なぜ「高機能絆創膏」が早くきれいに治すのか?その仕組みやおすすめの製品についてご紹介します。

高機能絆創膏の湿潤療法(モイストヒーリング)

高機能絆創膏の「高機能」とはどんな機能なのでしょうか?

一般の救急絆創膏は、傷口をどのようにケアをしているのか、高機能絆創膏と比較してみましょう。

普通の救急絆創膏は傷口を保護します。しばらくすると傷口から浸出液や血液が乾燥してかさぶたが作られます。

これが「乾燥療法=ドライトヒーリング」です。

手の平に貼られた絆創膏

これに対して、高機能絆創膏はかさぶたを作らずに患部を常に体液で潤った状態にして治癒する「湿潤療法=モイストヒーリング」で傷をケアします。

かさぶたができたら「治った」と思い込んで、かさぶたをめくってしまい、「血液や浸出液が出てきた・・・」を繰り返す人もいらっしゃいますが、この湿潤療法ではかさぶたができないのが、一般的な絆創膏との大きな違いなのです。

手の甲に貼られた高機能絆創膏

高機能絆創膏のモイストヒーリングは

・早く傷が治すことができる

・かさぶたができないので傷跡が残りにくい

・感染や化膿しにくい

・痛みが少ない

この4つが大きなメリットです。

モイストヒーリングの仕組み

引用:毎日新聞 疑問氷解「ばんそうこうを貼ると、本当に早く治るのですか」

湿潤療法を備えた絆創膏は、どのような構造や素材でしょうか?

患部にあたる部分が、ハイドロコロイドという素材でできています。

このハイドロコロイドは医療現場でよく使われており、皮膚にぴたっとつける粘着剤と水分を吸収するハイドロコロイド粒子でできています。

ハイドロコロイドは傷口をしっかり守りながら、浸出液(体液)を吸収し、ゲル状クッションのような役割を果たします。浸出液は傷を治す成分を含んでいるので、乾燥させることなく治す成分を保持したまま保護します。

そうすることによって自然治癒力を高め、新しい皮膚が早く再生されるようになるのです。

高機能絆創膏は、乾燥したかさぶたの代わりに、ハイドロコロイド素材で浸出液の環境を維持しながら、早く傷をケアすることができるので、新しい傷ケアとして一般家庭で広がっています。

これは高機能絆創膏のほとんどが、医療機器認証番号を取得している管理医療機器である点からも、効果が認められていて、安心して使う事ができることがわかります。

ご家庭での使い方

管理医療機器である高機能絆創膏を使う際は、パッケージや中の取扱書(添付文書)をよくご覧いただいた上でお使いください。

ここでは一般的な使い方についてご紹介します。

高機能絆創膏はどんな傷に向いているのでしょうか?

一般的には、切り傷、アカギレ、さかむけ、靴ずれ、すり傷など、重傷ではないケガに使用します。

ただし、傷の状態によっては使用できない場合があります。例えば、傷口に細菌が入って感染すると化膿します。

細菌に感染している可能性がある傷や、出血したままの傷、また傷の大きさや深さによっては高機能絆創膏と自然治癒力では治らない場合もあるので、少しでも「大丈夫かな?」と思ったら医師に相談することが大事です。

膝を怪我した女性

傷の手当は3つのステップが主流です。

  1. ① まず傷口を洗う
  2. ② 水分をふき取る
  3. ③ 絆創膏で保護する

使うときはまず、傷口をよく水で洗ってください。傷口の周りにあるごみやほこり、汚れを洗い落してから、清潔なティッシュや綿で水分を優しく吸い取ります。

いつもならここで消毒液をシュッとかけたり、軟膏を塗ったりすることもあったかもしれませんが、高機能絆創膏を使う際、消毒は不要です。

なお、水で洗うと傷口が沁みやすく、小さなお子様だと痛みを感じることがあります。その場合は生理食塩水で洗うことをおすすめします。生理食塩水は体内と同じ浸透圧で調整された塩化ナトリウム水溶液です。

バンドエイドのホームページでは、傷の手当に際しては下記のように掲載されています。

水道の流水か生理食塩水でキズ口を洗い、異物や菌を取り除きます。砂や小石などが入っていて、水だけで流せないときは、清潔な布やガーゼ、めん棒などで取り除きます。

※参照:切りキズ・すりキズの治し方|ばんそうこう・キズパワーパッドのバンドエイド® BAND-AID®

ニールメッド ウンドウォッシュ(傷口洗浄スプレー) ミストタイプ
ニールメッド ウンドウォッシュ(傷口洗浄スプレー) ミストタイプ

次に、高機能絆創膏を傷口に貼ります。商品によってはカットされてものもあれば、ロールタイプで傷口に合わせてご自身でカットして使用するものがありますが、必ず傷口全体をカバーするサイズを貼るようにしましょう。

そして、傷口から出る浸出液がゲル状になると白く膨らんできます。

傷の程度にもよりますが、高機能絆創膏は1回貼っただけで治ることはありません。

1~3日後に剥がして、傷をチェックしながら貼り変えましょう。(貼り変える時も再度水で洗浄しましょう)

白十字 FC モイストヒーリングパッド
白十字 FC モイストヒーリングパッド

※傷の治りが悪いようであれば医師に相談してください。また貼り変え時に消毒剤をかけないように注意してください。

最後に

2004年ジョンソン・エンド・ジンソンが、モイストヒーリングを採用した「バンドエイド ® キズパワーパッド ™」を家庭用に発売し、今なお各社・各メーカーが傷ケア製品を開発し続けています。

まだまだ一般の絆創膏より高価ですが、早く傷が治る、痛みが少ない、こまめな交換がない点、傷あとが残りにくいなど、長い目で見ると高機能絆創膏の方が良いかもしれません。

手の甲をなでる女性

新型コロナウィルス感染症の流行により、生活仕様が一変しました。密を避けるためキャンプ、ハイキングなどのアウトドア人口が増えています。「いざ」という時のために、おでかけ時には高機能絆創膏を用意して、正しい使い方を理解した上でご使用ください。

よくある質問

絆創膏の種類は?

家庭用での主な絆創膏は以下の通りです。
・救急絆創膏:粘着シートになっており、不織布のパッドがついたもので一番ポピュラーなタイプ。
・高機能絆創膏:管理医療機器として扱われ、傷を早くきれいに治す絆創膏。
・液体絆創膏:防水性があり、傷口に塗布し乾燥させることで傷口を守る。

モイストヒーリングとは?

患部にかさぶたを作らず常に体液で潤った状態にして治癒する方法をモイストヒーリング(湿潤療法)と言い、高機能絆創膏の特徴です。
モイストヒーリングのメリット
・傷の治りが早い
・かさぶたを作らないので傷あとが残りにくい
・感染や化膿を防ぐ
・痛みが少ない

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