サージカルテープ(医療用テープ)とは
「貼るテープ」といえば、セロハンテープ、マスキングテープ、ビニールテープ、ガムテープ(布やOPP)、養生テープ、両面テープなどなど、世の中には数多くのテープが存在します。
中でも、医療現場で使うテープといえば「サージカルテープ」。サージカルは英語で「surgical」と書き 、「外科の」「手術の」を意味するので、必然的に医療現場で用いられていることが想像できます。
サージカルテープは処置や手当の際に、ガーゼや包帯、チューブ、カテーテルを患部にしっかり固定するために用いられます。
例えば、病院で処置される包帯は両端を結んだり、留め具を使ったりして固定します。
しかし、いざ自宅で巻き直そうとすると難しく、留め具は小さくて無くしてしまう可能性もあるので、サージカルテープを使うケースが増えているようです。
昔のサージカルテープは、時間の経過とともにはがれやすかったかもしれません。
最近のサージカルテープは粘着力や伸縮性の高いものが開発されており、ハサミが不要で手でカットできるなど、患者さんだけでなく、手当をする医療従事者側ともに使い勝手がよくなりました。
ところで、サージカルテープにはどのような種類と用途があるのかご存知でしょうか?
サージカルテープの用途別種類
サージカルテープは用途や皮膚の状態に合わせて様々な種類があります。下記の表は一例です。
種類 | 不織布タイプ | プラスチックタイプ | 低刺激性タイプ | 粘着が強いタイプ | 弾力タイプ (粘着包帯) |
---|---|---|---|---|---|
色 | 白/ベージュ | 半透明 | 白/カラー | 白/ベージュ | 白/ベージュ/カラー |
特徴 | ・ハサミ不要で手でカットできる ・通気性がありムレにくい ・ベージュは皮膚の色に近いので目立ちにくい |
・半透明なのでテープが目立たない ・縦と横に手で切れやすい |
・シリコーン粘着剤を使用 ・高透湿性で長時間使用しても蒸れない |
・皮膚の凸凹になじむ ・固定性が高い素材(アクリル系粘着剤)を使用 |
・粘着力が高い ・圧迫しながらしっかり固定できる |
用途 | 幅広く使われ、汎用性がある | 応急処置など素早い操作が必要な時 | 顔まわりの皮膚が薄い箇所、弱くかぶれやすい肌向け | ドレーンやチューブの固定 | 止血処置の圧迫固定など |
このように不織布タイプが最も幅広く汎用的に使われています。
一方、粘着力が高いものは、少し動いただけで剥がれてしまわないようにするため、しっかり固定する処置(チューブやカテーテルの固定など)に用いられます。
医療従事者によって、グローブしている状態での扱いやすさや、手切りのしやすさ、剥がしやすさ、粘着力など、微妙な使い勝手の違いでどのメーカーやブランドのサージカルテープを使用するかが分かれます。
サージカルテープの素材と構造
サージカルテープは、表面に背面処理剤、中央に基剤、下に粘着剤の施されたテープがロール状になったものです。
この背面処理剤、基剤、粘着剤の素材や粘性などによって、サージカルテープを差別化しています。
見た目は薄いテープですから、この3つの層が私たちの身体に処置を施す際に役に立っているとは思いもよりませんね。
サージカルテープの選び方と注意
ドラッグストアでは、不織布テープのような汎用性が高いテープが多く店頭で置かれています。
一方、病院での処置や在宅治療で用いるカテーテルの固定で使うサージカルテープは、病院の薬局やインターネット通販で入手することがほとんどです。
病院で処置された場合は、医師にどのサージカルテープを自宅で用意したら良いか確認することをおすすめします。
個人の判断で選んでしまうと、肌トラブルが起きる場合があるためです。
特に、高齢者の皮膚は薄くなり、乾燥し弾力性がなくなっています。そのため何かにこすっただけ、ぶつかっただけで、皮膚がめくれてしまうので、サージカルテープを剝がす時には注意が必要です。
(もちろんサージカルテープだけではなく絆創膏やドレッシング材も同様です)肌の状態をみながら、なるべく優しく剥がしやすいサージカルテープを選ぶようにしましょう。
皮膚の状態によっては、テープを剥がしやすくする剥離剤の使用も検討してください。
また、粘着剤にはアクリル系合成粘着剤を用いることが多く、人によっては皮膚トラブルを起こす場合があります。
皮膚トラブルの例は、サージカルテープを貼っている箇所が「赤くなる」「蒸れる」「かぶれる」「かゆくなる」といった症状です。
長時間貼る場合は、外的要因(水、皮脂、外気温)からも影響を受けやすいので、心配な場合はバッチテストで確認しましょう。
サージカルテープを引っ張りすぎて貼り付けると、皮膚に負担がかかります。
皮膚が緊張して赤みを帯びることがあるので、腕や足首、ひざのように曲げ伸ばしする部位には、伸縮性のあるサージカルテープをおすすめします。
特に、不織布のサージカルテープは比較的安価で、ご家庭の救急箱に入っていることが多いだけに、皮膚トラブルまで意識することは少ないと思います。
入院されている患者さんや長期間カテーテルや点滴で処置が必要な方は、24時間何日間もテープでチューブやカテーテルを固定し続けなければならないので、なるべく皮膚に負担がかからないようにしたいものです。
代表的な商品
病院の売店やインターネット通販で販売されているサージカルテープは、1箱に複数ロール(6~24巻)入っているものがほとんどです。
医療機関では毎日何ロールも使用するため、ばら売りはあまりありません。
スリーエムのトランスポア プラスティックは1ロールからの販売なので、家庭でお使いの場合、手でカットしやすく半透明なのでおすすめです。
不織布テープ
プラスチックテープ
低刺激タイプ
粘着力の高いタイプ
よくある質問
サージカルテープとは?
主には医療現場で用いられるテープで種類は様々。処置・手当の際に包帯・チューブ・カテーテル等を患部に固定するために使用される。
テープを手でカットできるものもあり、病院の売店、ドラッグストアやオンラインショップで購入することができます。
サージカルテープの種類は?
一例ですが下記にてご紹介。
・不織布タイプ:手でカットでき、通気性がある。汎用性のあるテープ。
・プラスチックタイプ:縦と横に手で切れやすく、半透明で目立ちにくい。
・低刺激性タイプ:応急処置など素早い操作が必要な時に使われるテープ。
・粘着が強いタイプ:高透湿性で長時間使用しても蒸れにくく、シリコーン粘着剤を使用。皮膚が薄い箇所やかぶれやすい肌の方向けのテープ。
・弾力タイプ:圧迫しながらしっかり固定できる粘着力が高いテープ。粘着包帯とも呼ばれる。止血処置する際の圧迫固定などに用いられる。