年度がかわると健康診断や人間ドックを会社、学校、自治体で受けるように指示があると思います。 特に2020年以降の新型コロナ感染症の感染拡大に伴って、健康診断を控えるケースもあり、より一層健康管理が重要視されています。(なお企業は自ら雇用する労働者に一年に一回定期的に健康診断を実施しなければならないと法律(労働安全衛生法)で定められています。) 健康診断を受診する際、「夜〇時以降の飲食は控えるように」「検査当日の朝食は抜くように」と注意があります。 胃のレントゲンや胃内視鏡検査では胃に内容物があると、視野が小さくなり検査に影響が出ます。 さらに検査当日に飲食した場合、血液検査で血糖値と中性脂肪の数値にも影響します。 企業で定められている定期健康診断の検査項目は全部で11項目あり、その中には血液検査によって診断する項目が多く含まれています。それだけ血液検査が健康診断では重要であることがわかります。
1. 既往歴及び業務歴の調査 また、日本赤十字社の献血では、希望者には血液検査の結果(7項目の生化学検査成績と8項目の血球計数検査成績)を郵送やウェブ上で確認することができ、2009年より糖尿病関連を検査項目に追加しています。 現在、日本における糖尿病患者は、予備群も含めると約 1,870 万人といわれています。 生活習慣や社会環境の変化に伴って急速に増加している糖尿病は、初期段階では、自覚症状がない場合が多いため、気づかずに放置されていることが少なくなく、長期間治療せずにいると糖尿病が悪化し、やがて神経障害や網膜症等の合併症を起こします。 糖尿病の予防には、ご自身の血糖値を定期的に検査することが有用であるため、日本赤十字社では、献血者にお知らせする検査成績への糖尿病関連検査項目の追加を検討してまいりました。 そして、平成 21 年 3 月中旬よりグリコアルブミン検査を開始いたします。 このように、普段の健康診断や献血で血液検査を行うことにより、糖尿病をはじめ様々な病気の早期発見につながることがわかります。 特に糖尿病については初期段階で自覚症状がないだけでなく、合併症のリスクもあるので、早期発見が重要ですね。 ここではもう少し詳しく糖尿病の予防と早期発見についてご紹介します。健康診断でわかる血糖値
2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3. 身長(※1)、体重、腹囲(※1)、視力及び聴力の検査
4. 胸部エックス線検査(※1) 及び喀痰検査(※1)
5. 血圧の測定
6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※1)
7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP) (※1)
8. 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド) (※1)
9. 血糖検査(※1)
10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11. 心電図検査(※1)
※1定期健康診断(安衛則第44条)における健康診断の項目の省略基準 定期健康診断については、それぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができます。
糖尿病関連検査について
血糖とは何でしょうか?「血の糖・・・甘い?」「血はしょっぱいけど甘くなるの?」と想像する方もいらっしゃるのではないでしょうか。 血糖とは血液に含まれる「ブドウ糖」です。ブドウ糖は全身に行き届き、体の細胞の栄養源として重要な成分です。 たまに「朝ごはんを食べないと授業や仕事が集中できない」「甘いものを食べると、頭がさえる」と聞いたことがありませんか?これは脳を活性化するには糖分が必要と言われているからです。しかし過剰・急激な摂取は禁物です。なにごともバランスが大事という事を念頭に置くようにしましょう。 血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を「血糖値」として表します。血圧やコレステロールなどの数値は範囲内を多少上下することがあります。 血糖値についても食事から糖分を摂取するので、健康な人であっても食事前と食事後で数値が変化します。ただし、糖尿病の人や予備軍の人は、この変化の値が大きく異常値を出してしまうのです。 食事後に高くなった血糖値は、どのように下がっていくのでしょうか?血糖値が下がる仕組みは、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、インスリンがブドウ糖を細胞の中に取り込んでコントロールしてくれるのです。 健康な人であればインスリンが正常に働き、食事が終了してからおよそ2時間経つと、血糖値は一定の範囲内に収まり、空腹時の値にあたる70~110mg/dLに戻ります。 しかし生活習慣の悪化や高カロリー食の過剰摂取、運動不足が続くと、インスリンの働きが弱くなってしまうのです。インスリンの働きが弱くなると、血糖値が下がらず高血糖の状態が続き、糖尿病のリスクが高まるとされています。 血糖値が高いままだと動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞を発症する可能性も危惧されています。糖尿病は初期症状がありません。自分では自覚するのが難しい病気なので、いかに日々の生活の中で血糖値を意識しないといけないことかわかりますね。血糖値が高いとどうなる?
では、糖尿病の予防にあたり、何から始めればよいのでしょうか。 糖尿病は2つに分けられます。Ⅰ型とⅡ型があり、日本人の糖尿病患者のうち約95%がⅡ型糖尿病といわれています。 このⅡ型糖尿病はストレス、高カロリー摂取、運動不足、肥満が原因です。普段から食生活や運動を意識することで予防につながるのが理解できますね。
1.健康的な食生活 「頭の中でわかっているものの、つい・・」「明日からセーブしよう」となかなか行動に移せない人も多いのが実情です。できるところから少しずつ取り入れていきましょう。 適度な食事の量、また野菜、魚類、肉類、炭水化物をバランスよくとることが必要です。 タンパク質であれば、脂肪が多い豚バラよりも豚ロース、鶏肉ならささみ、さらには魚類・・・といったように徐々バランスを意識した食事に変えていくと良いでしょう。 炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。糖質は(お米や小麦が代表的)なるべく減らした方が良いです。 しかし、炭水化物を減らしすぎて、食物繊維の体内への摂取量が減ってしまうと、整腸作用が弱まり(=自然なお通じが不可能になる)、腸内環境が悪くなってしまいます。なにごともバランスは必要ですね。 近頃、スーパーやコンビニエンスストアでこのロカボマークがついた食品を見かけたことがあると思います。 食・楽・健康協会が掲げている、世の中の人々に「おいしく、楽しく食べて、健康に」なっていただきたいという理念のもと、「おいしく楽しく適正糖質=ロカボ」を更に普及させていくために作成されたマークになります。 糖質は三大栄養素の「炭水化物」に含まれていて、血糖値を上げる原因になっています。適正な糖質摂取を心がけることで血糖上昇を抑えることができます。 「ローカーボ」ではなく「ロカボ」。極端な糖質抜きではなく、おいしく楽しく適正糖質を取ることを推奨しています。 なんでも我慢してストレスをためないように、ロカボが提唱する適正糖質量を守って「おいしく、楽しく食べて、健康に」を目指しましょう。 まずはロカボマークがついている食品を意識的に取り込んでみてはいかがでしょうか。もちろんロカボマークがあるからといって、過剰摂取は×です。 体を動かすと血糖値が下がります。食後すぐ走るのは体に負担がかかりますが、軽いウォーキングや自宅にいながらのダンベルやストレッチポールを使って体を動かしたりするだけでも、食後の高血糖を改善できますね。 いきなりスポーツクラブや毎日のランニングはハードルが高く長続きしませんが、ウォーキングならすぐ取り入れることが可能なのでおすすめです。 ストレスによる暴飲暴食、喫煙量の増加、睡眠不足などは、体によいことは何一つありません。 ストレスがたまると血糖値が上昇しやすいので、運動、趣味を深める、好きなテレビや映画、音楽を聴くなどなるべくストレスをためこまないようにしましょう。 あらゆる生活習慣病の予防で禁煙した方が良いとされているように、喫煙をしていると糖尿病からの合併症リスク(心臓病、脳卒中、腎臓病や動脈硬化など)が高まります。 いきなり禁煙は難しいかもしれませんが、保険適用の禁煙外来があるので、まずは医師に相談しましょう。 アルコール量も血糖コントロールに影響します。 ウィスキーや焼酎は日本酒に比べると糖質は少ないので、「飲むならウィスキー」「ハイボールはアルコール量も糖質も少ない」と思う方が多いです。 しかし、たくさん飲んでしまうと、ついつい唐揚げや塩分の高いおつまみを食べたくなりがちです。すると、自然に血糖値も高くなります。 アルコールによりストレス発散も可能ですが、なにごとも適量が一番ですね。 健康診断や献血の結果から血糖値を注意され、要検査になったらどうしたらよいでしょうか。 まずは再検査を最寄りの医療機関で受けてください。より専門機関を希望する場合は糖尿病内科がある専門クリニック、生活習慣病を注力している内科や腎臓内科、循環器内科でも良いでしょう。検査は保険診療で3割負担とされています。 病院によって費用が異なるので、気になるようでしたら事前に確認することをおすすめします。治療が必要になったら医師の指示に従い、治療に専念しましょう。もちろん普段の生活習慣の改善は必要です。普段の生活で予防できること
2.適度な運動
3.ストレスフリー
4.禁煙
5.アルコール量の節制
6.検査と治療
1.健康的な食生活
2.適度な運動
3.ストレスフリー
4.禁煙
5.アルコール量の節制
6.検査と治療
最近では自宅で簡単に血糖値を測定することができます。 病院で測定する場合は、時間帯や食前後によって血糖値が変動する場合があり、またインスリンや血糖を抑える薬を投薬していると、結果が不十分なので自宅で血糖値を測定し、管理することを勧めています。 自宅で自己採血する必要がありますが、穿刺(せんし)するキットがあるので、指先にペン型の穿刺具(せんしぐ)を刺すだけで済みます。 なお穿刺針(せんししん)とセンサーは使い捨てなので、使いやすく、衛生的ですが、費用も加味する必要があります。 糖尿病早期発見のための自宅で検査ができる検査キットも発売されています。自宅で採血したものを検査機関に送ると、検査結果がメールや郵送で届くので、コロナ禍の中、病院に行くことが難しいと思う方におすすめです。 気になるのは採血の仕方と思いますが、健診時のように注射で大量に採血するのではなく、指先から数滴採血するので、それほど痛みは伴いません。 キットは1回限りなので、使用方法や採血する時間帯(空腹時)を守って測定するようにしましょう。 今では自宅でも簡単に血糖値を測定することができるだけでなく、生活習慣病や糖尿病の検査も可能となりました。 ぜひ健康診断の後に血糖値の項目を確認し、去年の数値と見比べてみてください。 再検査を受けに病院に行くほどでもないけど、「この数値は大丈夫かな」となったらセルフチェックキットを利用してみてはいかがでしょうか。自宅で簡単セルフチェック
よくある質問
自分で糖尿病かどうかを調べるには?
健康診断などで血液検査による血糖値の測定を行います。基準値よりも血糖値が高いと判断されれば糖尿病と診断されます。
また、病院で検査を受けられない場合でも自宅で簡単に糖尿病を検査できるキットがございますのでこちらも活用しましょう。
糖尿病を予防するには?
日本人の糖尿病患者の約95%がⅡ型糖尿病と言われており、主にストレス、高カロリー摂取、運動不足、肥満が原因となります。予防として、下記が効果的です。
- 健康的な食事
- 適度な運動
- ストレスを溜めない
- 禁煙する
- アルコール量の節制