今年のインフルエンザ
2020年以降新型コロナウィルス感染症の流行に伴い、インフルエンザは例年以下の流行でした。これはコロナの感染防止のために、マスクや手洗いの徹底、海外旅行を控えたことで、インフルエンザの感染予防につながっていたのです。しかし、2022年は世界的にインフルエンザの流行年になるようです。
季節が逆の南半球であるオーストラリアの感染者数推移をみると、6月にインフルエンザのピークが現れています。
今年日本では、オーストラリアと同様にインフルエンザの流行する可能性があるといわれています。特に、新型コロナウィルス感染症の流行に伴いインフルエンザの感染者は減少したため、約3年の間で免疫を持たない人が増加しています。
そのため、今年は特に感染しやすいとされており、すでに都内の小学校ではインフルエンザによる学級閉鎖の報告もあることから、感染予防の徹底を呼び掛けています。
インフルエンザとコロナの違い
改めてインフルエンザの症状や検査方法、予防についてまとめました。
症状
インフルエンザウィルス感染により発症します。急な38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、倦怠感などの症状が表れます。
また、普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻水、咳もみられますが、1週間程度で回復します。
なお、小さなお子様、高齢者、妊婦、また基礎疾患がある方は重症化リスクが高いので注意が必要です。
インフルエンザかな?と思ったら
インフルエンザの症状を感じたら、内科や小児科へ受診してください。
医師の診断のもと、インフルエンザの検査を実施します。
検査の方法は、鼻の粘膜を採取し、インフルエンザウィルスの抗原の有無を調べるというものです。
予防
ワクチンは流行前の10~12月に接種するのが望ましく、各医療機関で実施されています。
お近くの医療機関でワクチン接種を実施しているか確認しましょう。
また普段からは手洗い、飛沫防止、換気の徹底、体力づくりや休養も必要です。
インフルエンザに罹った時の通学や出勤は?
学校では学校保健安全法に「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」と制定されており、この期間は登校・出席ができません。
社会人の場合、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律では、決まった感染症に罹患した場合、厚労省が定める期間の業務は停止しなければなりません。しかし、毎年冬に流行する(季節性)インフルエンザは、この法律上の感染症には含まれていません。
とはいえ、職場内で感染が広がり、業務が停止することは避けるべく、企業によっては季節性に問わず、インフルエンザに罹った場合の就業規則を設けているところが多いようです。
例えば、「発症後5日間が経過し、かつ解熱後2日間※」(※企業により基準が異なる)を出勤停止期間として規則を制定するなどです。また福利厚生の一環として、インフルエンザ予防接種を負担する企業もあります。
お勤めされている方は、改めて自社の就業規則を確認してはどうでしょうか。
インフルエンザも新型コロナウィルス感染症も、いずれもウィルスによる感染です。
似ている点は多いのですが、症状だけで、個人でインフルエンザ、新型コロナウィルス感染症、そして風邪を見分けるのは困難なので、きちんと体温を測定しながら、医師に相談しましょう。
ただの風邪と思ったら感染を広げてしまうリスクが高まるだけでなく、重症化のリスクも伴います。
ここで、インフルエンザと新型コロナウィルス感染症の違いについて下記にまとめました。
インフルエンザ | 新型コロナウィルス感染症 | |
---|---|---|
症状 | 38℃以上の急激な高熱。頭痛、関節痛、倦怠感、咳、のどの腫れ、鼻水など風邪に似た症状もある。 | 37.5℃以上の発熱が4日以上続く。倦怠感、咳、痰、鼻水など風邪に似た症状のほか、食欲不振、味覚・嗅覚障害が現れることもある。 急激な重症化や肺炎を合併のリスクもある。 |
感染経路 | 接触または飛沫感染 | 接触または飛沫感染、エアロゾル感染の可能性もある |
潜伏期間 | 2~5日間 | 1~14日間 |
検査 | 抗原検査 | 抗原検査、PCR検査 |
ワクチン | 接種あり(有償、およそ3000~5000円。都道府県や病院による) | 接種あり(無償、国の公費負担※) ※感染症法2類 |
治療 | 対症療法、抗インフルエンザ薬 | 対症療法 |
予防 | ワクチン、手洗い、うがい、飛沫防止、換気の徹底、三密を避ける | ワクチン、手洗い、うがい、飛沫防止、換気の徹底、三密を避ける |
基本的な予防については同じです。
手洗い、うがい、飛沫防止、三密を避ける点では、インフルエンザも新型コロナウィルス感染症も共通ですね。
同時感染「フルロナ」とは
ところで、2022年冬は、乾燥しやすいという季節要因と、行動制限がないという気のゆるみもあり、新型コロナウィルス感染症の感染者数が増加傾向。第8波到来のニュースを耳にします。
また冒頭に紹介したように、3年ぶりのインフルエンザ流行の兆しがみられること、それに併せて新型コロナウィルス感染症とインフルエンザの同時感染「フルロナ」のリスクも高まっているようです。「フルロナ」はインフルエンザとコロナからとった造語です。(別の言い方としては「フルコビット」もあるようです)あくまでも造語なので、新種のウィルスや既存ウィルスの変異株ではありません。
インフルエンザと新型コロナウィルス感染症の抗原検査を実施すると、どちらも陽性だったというフルロナ患者が都内で確認されています。症状は高熱、咳、鼻水、倦怠感、関節痛、のどの腫れというように、インフルエンザと新型コロナウィルス感染症と似ています。個人差がありますが、抗インフルエンザ薬を処方して熱は下がっても、未だ咳が続いたりすることも。そしてフルロナに罹ると、重症化のリスクがより高まるとの報告があります。
英国の研究チームがまとめた論文では、2020年2月~21年12月、コロナの患者で他の病気の検査も受けた約7000人を調べたところ、3.2%がフルロナだったという。
フルロナの患者は、コロナだけに感染した患者に比べ、リスクは人工呼吸器の装着が4.14倍、死亡が2.35倍だった。
コロナと、風邪症状などを引き起こすRSウイルスに同時感染した患者より大幅に高かった。
参照:読売新聞同時感染「フルロナ」へ備えを…重症化リスク懸念、死亡率はコロナ単一の2.35倍か
これから年末年始の帰省や旅行、そして受験シーズンに向けて、インフルエンザ、新型コロナウィルス感染症、そしてフルロナに罹らないように気を付けたいものです。
フルロナの感染予防
予防としてまず挙げられるのはワクチンです。インフルエンザのワクチンは、新型コロナウィルス感染症のワクチンと同様に、感染しても発症リスクを低減させる効果と、発症しても重症化するリスクを抑止するのに有効とされています。
よく質問にあがるのが「新型コロナウィルス感染症のワクチンとインフルエンザのワクチンを同時に接種しても大丈夫なのか?」ですが、答えは「同時接種は可能です」が厚生労働省の見解です。
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種については、単独で接種した場合と比較して、有効性及び安全性が劣らないとの報告がある
副反応に負担を感じるなど、やむを得ず新型コロナウィルス感染症のワクチン接種ができない方でもインフルエンザの予防接種だけでも済ませておくとよいでしょう。
そして、日常生活では基本的な対策を忘れずに。
・手洗いの徹底
・マスク
・咳エチケット
・適度な換気
・密を避ける
インフルエンザ、新型コロナウィルス感染症、そして同時感染のフルロナ。この冬も医療機関、特に発熱外来がひっ迫する可能性が高くなるとみられています。
一人ひとりの感染対策を徹底するように心がけましょう。
「フルロナ」はインフルエンザと新型コロナウィルスに同時感染した状態の事。 同時感染した場合でも、基本的な症状はインフルエンザ・新型コロナウィルスとほとんど変わりません。よくある質問
フルロナとは?
他には「フルコビット」とも呼ばれています。(いずれも造語)インフルエンザと新型コロナウィルス、同時感染すると症状は?
(高熱・関節痛・のどの痛み等)しかし、重症化のリスクが高まるとの報告あり。ワクチンの接種や基本的な手洗いうがいで同時感染の予防を!