【リンパドレナージとは】リンパ浮腫とそのケア方法

目次

リンパ浮腫(ふしゅ)とは

リンパ浮腫とは、腕や足のリンパ液の流れが悪くなり、むくみが生じる疾患です。片脚・片腕だけむくんだ状態になることもあります。
リンパ浮腫は、原因によって以下のように2種類に分けられます。

① 一次性(または原発性)リンパ浮腫:先天性あるいは原因不明なもの

② 二次性(または後発性)リンパ浮腫:病気やがん治療によりリンパ管が閉塞※しておこる

 ※閉塞 ある部分をふさいで他の部分との連結を絶つこと

②は乳がんや子宮がんなど癌を患った女性に多く、リンパ節の切除の手術後や放射線治療後に起こります。時期は手術直後から数年(場合によっては10年以上)かかる場合があります。

人間の身体には、動脈と静脈、リンパ管の3つが巡っています。
動脈は心臓から全身の各組織に血液を送り出す血管。静脈は動脈の逆で各組織から心臓へ血液が戻っていく血管。そして、リンパ管は身体の老廃物を運ぶ、すなわち排水管の役目を果たしています。

動脈静脈リンパ管

しかし、何かしらの理由でリンパ管の老廃物を運ぶ流れが悪くなると、それが原因で皮膚組織の一部に体液が溜まり、むくみがおきます。
ガンの手術や放射線治療では、リンパ管にあるリンパ節を手術で取り除きます。リンパ節が除去されたリンパ管は流れが悪くなり、停滞して、むくみが起きてしまうのです。軽いむくみはマッサージや着圧ソックスなどの自己管理でケアできますが、重症化すると生活に支障をきたします。さらに、リンパ浮腫による合併症である蜂窩織炎(ほうかしきえん)が高頻度で発症しやすいため、普段より皮膚の予防をし外傷や過労に注意が必要です。

日常生活で気を付けること

・無理をしないように心がける

・睡眠時を含め、腕や足を高めに維持するように心がける

・重いものを持ったり、同じ姿勢や動きを長く続けたりしないようにする

・肥満やリンパ浮腫が発症または悪化する恐れがあるので体重管理を徹底する

・患肢皮膚の保湿・保護に心がけて、外傷過労などに注意する

むくみ

むくみに気が付いたら、まず医療機関を受診しましょう。
皮膚科や形成外科、血管外科、さらに専門外来としてリンパ浮腫外来がある病院もあります。もし乳がんや子宮がんの術後であれば、乳腺外科や婦人科に相談するのも良いでしょう。

リンパドレナージとは

リンパ浮腫の治療に「リンパドレナージ」が挙げられます。
皮膚をこすってリンパ液を流して、体内の不要な老廃物や異物を集めます。その後、集められた老廃物はリンパ液と一緒に静脈から血流に入って、排出。こうすることでむくみを改善します。

マッサージとドレナージの違い

マッサージは身体のコリをほぐすことが目的です。そのため強い圧をかけます。
一方でドレナージはリンパを流すことが目的なので、強い圧はかけずに、表面をさすりながら流します。
マッサージはもみほぐす、ドレナージは摩り流すイメージですね。

ドレナージュとドレナージの違い

よくエステサロンなどで耳にするのが「リンパドレナージュ」です。
医療用と美容用では目的と効果が異なります。ドレナージュはフランス語drainageで、意味は「排出」です。

リンパドレナージ

美容用のリンパドレナージュは「疲労回復」「むくみや冷えを抑える」など、リラックスや痩身目的の意味合いが強いです。
一方、医療用のリンパドレナージは、リンパ浮腫やむくみの治療が目的です。「リンパマッサージ」を謳うサロンもありますが、「リンパ」が名前についているからとはいえ、リンパ浮腫の治療にはおすすめできません。やはり、医師や看護士のもとでリンパドレナージを行うようにしましょう。

リンパドレナージュとの違いがわかるように、医療用は「リンパドレナージ」と呼ばれています。
2010年のリンパ浮腫学会で、リンパ浮腫治療の用語を「リンパドレナージ」に統一しました。そのため医療の現場では、「リンパドレナージ」の方がよく使われています。リンパ浮腫外来でリンパドレージの治療を行いますが、毎日通院するのは難しいので、自宅でのリンパドレージで、セルフケアを行うことを推奨しています。

・リンパドレナージ前の準備運動(例:下肢のセルフリンパドレナージ)

① 肩回しを10回(後ろ回し)

② 鎖骨の上の窪みに手を当て、その状態で10回回す

③ おなか全体を時計回りにやさしく2、3回摩る

④ 脇腹に手をあて(左右)、おへそに向かってそれぞれ10回引く

⑤ 腹式呼吸(横隔膜呼吸)を5回

⑥ 浮腫側の腋の下に手を当て、その状態で20回回す

⑦ 浮腫側のお尻の横側から体側を通り、腋の下まで軽く10回摩る

⑧ 下腹部を腋の下に向かって軽く摩る

⑨ 浮腫側のお尻を腋の下に向かって軽く摩る

・浮腫のある脚のドレナージ(各5~10回)

① 太ももの外側をひざからお尻の横から上に向かって

② 太ももの前面を内側から外側に向かって

③ 太ももの後面を内側から外側に向かって

④ 膝(前・内側・外側)を上に向かって

⑤ 膝裏のくぼみを上に向かって

⑥ すね(前面)を足首から膝まで上に向かって

⑦ ふくらはぎ(後面)をかかとから膝裏まで上に向かって

⑧ 内・外くるぶしの周囲を上に向かって

⑨ 足首を回す

⑩ 足の甲を上に向かって、次に足指を上に向かって

⑪ ⑩の足指までのドレナージをした順を逆にして、➃まで戻るようにドレナージする

自宅でのリンパドレージ

また、リンパドレナージでリンパの流れを改善した後は、むくみの程度を軽減・維持するために、弾性ストッキングや弾性スリーブ、弾性包帯による圧迫療法も行います。
弾性ストッキングについてはこちらも参照ください。

【医療用着圧ソックス】弾性ストッキングの選び方と履き方

また、リンパ浮腫の患部をつねに清潔にして、乾燥や肌荒れを予防することも大切です。スキンケアとして手や足に保湿クリームやローションを塗って、乾燥から肌を守りましょう。

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは

下肢静脈瘤は「足の血管が浮き出る」「こぶ状に膨らむ」「くもの巣のように血管が浮き出る」症状で、多くの人が抱える身近な足の病気のひとつです。
そのままに放置すると、足が疲れやすくなり、皮膚に色素沈着が生じます。良性なので血管のこぶが悪化したり、命に関わったりすることはありません。しかし、足にだるさやむくみを感じる、足がボコボコした状態のまま過ごすのは、日常生活を過ごすうえでダメージが大きくなり、QOL(Quality of Life)の低下にもつながります。ただし、悪化した場合は足の皮膚が変色し、傷ができて皮膚潰瘍になる場合もあるので、むくみの症状を感じたら、医師に相談するようにしましょう。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤の原因は下記の4つが挙げられます。特に女性に多いのが特徴です。

・加齢のため体力の衰えにより下半身の血行不良

・妊娠や出産経験

・美容師、販売員など立ち仕事

・家族の遺伝

日本人の約9%に下肢静脈瘤があり、患者数は1,000万人以上。出産経験のある成人女性の2人に1人が発症すると言われています※が、この症状の認知はまだ低く、受診しない方が多く、下肢静脈瘤の理解が進んでいないのが現状です。

※引用:下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤

リンパ浮腫の章で、「静脈は動脈の逆で各組織から心臓へ血液が戻っていく血管」と紹介しましたが、足の静脈は下から心臓に流れるので、重力にさからいながら心臓に血液を返しています。
静脈には血液が逆流しないように逆流防止弁がありますが、長時間の立ち仕事や血行不良がおきると、この逆流防止弁が正常に働かなくなります。その結果、血管が膨らんだり、老廃物が静脈に溜まったりして、むくみにつながるのです。

足のむくみやだるさを感じたら、ご自身の足をよくご覧ください。
もし血管が浮き出たり、こぶ状に膨らんだりしていたら、まずは医師に相談しましょう。
病院は血管外科が専門ですが病院によっては一般外科、皮膚科、形成外科でも診療を受けることもあるので、電話で確認しましょう。

おすすめのマッサージ器・ドクターメドマー

リンパドレナージとマッサージ器を併用することもおすすめです。どうしても面倒になりがちなセルフケア。その補助としてマッサージ器を使うこともあります。座っているだけで空気の力による加圧と除圧を静脈にかけることができ、血流の流れを改善し、むくみを解消することができます。 なかでも、医療機器として認証されている「ドクターメドマー」は、間欠空気圧迫装置として病院やクリニック、整体院で使用されています。

ドクターメドマー

ドクターメドマーの効果効能は以下の通りです。

・血行促進

・疲労回復

・筋肉疲労解消

・筋肉のコリをほぐす

・神経痛や筋肉痛の緩解

上記5点が挙げられており、医療・福祉・リハビリ施設はもちろん、プロアマスポーツチームや団体でも運動後のメンテナンスにも使われています。気になる箇所により、アームバンドやショートタイプもありますが、標準のブーツは、足先から太もも付け根まで両脚で使えるので人気です。

血液の渋滞が起こりやすいのは静脈で、特に太ももから下の脚部は、心臓から遠く下の方にあるため、一番渋滞が起こりやすい部分なのです。血液の慢性的渋滞部分とも言うべき、下肢静脈血の心臓への循環促進に、マッサージは優れた効果を発揮します。
メドマー使用時は、静脈に空気圧を加えて圧縮し、血液の循環を促進させます。※

ドクターメドマー使用イメージ1

ふくらはぎの筋肉は、足元から心臓へと血液を送る役割もしています。歩く運動は「ふくらはぎ」の筋肉運動で、下半身に溜まった静脈血を心臓に押し上げる作用を促進し、脚の血行を高めます。そして、体全体の血行を活発にします。

ドクターメドマー使用イメージ2

※参照:日東工器 血行促進が大切な理由

日東工器 ドクターメドマー両脚 標準ブーツセット DM-4S
日東工器 ドクターメドマー両脚 標準ブーツセット

またリンパ浮腫により脚のむくみが大きくなって、メドマーのブーツがきつく感じる患者様のために、オプションとしてブーツを拡張(4cm)するベルトもございます。

ドクターメドマーDM-4S標準ブーツ用LサイズベルトYB-4S 1本
ドクターメドマーDM-4S標準ブーツ用Lサイズベルト

脚は第二の心臓ともいわれています。リンパ浮腫や下肢静脈瘤のケアとして、リンパドレナージを行い、健康維持につとめましょう。

よくある質問

リンパ浮腫とは?

リンパの流れが悪くなり、手や足が浮腫む疾患です。
リンパ浮腫には2種類あり、原発性リンパ浮腫(先天性、原因不明)と後発性リンパ浮腫があります。その多くが後発性リンパ浮腫と言われており原因は病気やがん治療によるリンパ管の閉塞による発症です。

リンパドレナージとは?

リンパの流れにそって皮膚をさする手技でリンパ浮腫の治療法の1つ。
リンパ液と共に老廃物などを静脈から血流に入れ排出。マッサージとは違い強い圧はかけないのが特徴です。
この方法が浮腫みの改善に繋がります。

フォーム

このページのURLをコピー

一般の最新コラム
一般のコラム一覧